IH・オーブンでブレーカーが落ちる原因は?火災の危険も?安全な対処法と修理の判断基準を徹底解説
料理の途中でIHクッキングヒーターやオーブンを使ったら、突然「バチン!」という音とともに家中の電気が消えてしまった…そんな経験はありませんか?
調理が中断してしまう不便さはもちろん、「もしかして火事になるのでは?」「漏電で感電したらどうしよう」と、大きな不安を感じてしまいますよね。
ご安心ください。IHやオーブンでブレーカーが落ちる原因は、大きく分けて「①電力の使いすぎ」「②漏電の危険サイン」「③IH本体の故障」の3つに絞られます。
この記事は、第二種電気工事士の監修を受けて執筆しています。実際に現場でIHやオーブンのトラブルに対応してきた経験をもとに、わかりやすく安全第一で解説します。
ご自宅の状況に合った原因の特定方法や安全な対処法、修理や交換を考えるタイミング、信頼できる業者の選び方まで分かります。
※本記事の情報は、東京電力エナジーパートナー|契約容量とは何か知りたい や、パナソニック|IHクッキングヒーター 商品ラインアップ など家電メーカーの公開データを参考にしています。安心して読み進めていただければと思います。
まずは落ち着いて!ブレーカーが落ちた時に最初にやるべき3ステップ
突然電気が消えると、誰でも慌ててしまうものです。まずは深呼吸をして、これからご紹介する3つのステップを順番に実行してください。パニックにならず冷静に対処することが、安全な復旧への一番の近道です。
ステップ1:どのブレーカーが落ちたか分電盤で確認する
最初に、ご自宅の分電盤(ブレーカーボックス)を確認しに行きましょう。多くは玄関や洗面所の壁に設置されています。カバーを開けると、いくつかのスイッチが見えますが、主に3つの種類があります。どのスイッチが「切(下)」に下がっているかを確認することが、原因を特定する最も重要な手がかりになります。
| ブレーカーの種類 | 見た目の特徴 | 役割 |
|---|---|---|
| アンペアブレーカー | 一番大きく、左側にあることが多い。「40A」など契約アンペア数が記載されている。 | 家全体で使える電気量の上限を管理。契約量を超えると作動し、家全体の電気が消える。 |
| 漏電ブレーカー | 中央あたりにあり、「テスト」ボタンが付いている。「漏電」の表示が出るタイプもある。 | 家の中のどこかで電気が漏れている(漏電)のを検知。感電や火災を防ぐために作動する。 |
| 安全ブレーカー | 小さなスイッチが横に複数並んでいる。「キッチン」「居間」など部屋や回路ごとに分かれている。 | 各回路での電気の使いすぎやショートを検知。その回路だけの電気が消える。 |
ステップ2:使用中の家電の電源をすべてオフにする
ブレーカーを元に戻す前に、必ずIHクッキングヒーターやオーブン、電子レンジ、エアコン、ドライヤーなど、使用していた家電の電源を一度すべて切ってください。もし可能であれば、コンセントからプラグを抜いておくとより安全です。これを怠ると、ブレーカーを上げた瞬間に再び大きな電力が流れ、再度ブレーカーが落ちてしまう原因になります。また、家電製品への負担を減らす意味でも大切な手順です。
ステップ3:安全な手順でブレーカーを復旧させる
家電の電源を切ったら、いよいよブレーカーを復旧させます。以下の順番でスイッチを「入(上)」に上げてください。
- 安全ブレーカー(落ちているものすべて)を「入」にする。
- 漏電ブレーカーを「入」にする。
- アンペアブレーカーを「入」にする。
この手順で復旧させても、すぐにまた同じブレーカーが落ちてしまう場合は、何らかの問題が解決されていません。その場合は無理に何度も上げようとせず、次の章を参考に原因を詳しく探っていきましょう。
【原因特定】落ちたブレーカーでわかる!IH・オーブンでブレーカーが落ちる3大原因
前の章でどのブレーカーが落ちたかを確認できたと思います。そのブレーカーの種類によって、おおよその原因を知ることができます。ご自身の状況と照らし合わせて、原因を絞り込んでいきましょう。
原因1:家全体の電気が消えた【アンペアブレーカー】→ 電力の使いすぎ(容量オーバー)
家全体の電気が消え、一番大きな「アンペアブレーカー」が落ちていた場合、その原因は電力の使いすぎ(容量オーバー)です。これは、ご家庭が電力会社と契約している「同時に使える電気の上限」を超えてしまったために起こります。特にIHクッキングヒーターやオーブン(グリル)は、家庭用電化製品の中でもトップクラスの電力消費量です。
(※製品によって異なる場合があります)
| 電化製品 | 消費アンペア数(目安) |
|---|---|
| IHクッキングヒーター(2口同時使用) | 約15A~30A |
| IHオーブン(グリル) | 約10A~15A※ |
| 電子レンジ | 約15A |
| エアコン(暖房時) | 約6A~20A |
| 炊飯器(炊飯時) | 約13A |
| ドライヤー | 約12A |
例えば、40A契約のご家庭で、IHで煮込み料理(15A)をしながら、オーブンでグラタン(12A)を焼き、電子レンジで温め(15A)を同時に使用すれば、合計で42Aとなり契約容量を超えてしまうため、ブレーカーが落ちる原因になります。これは、IHやオーブンを使う際によく起こる一般的なケースです。
原因2:「漏電」の表示がある【漏電ブレーカー】→ 火災・感電につながる危険なサイン
もし「漏電ブレーカー」が落ちていたら、それは絶対に放置してはいけない危険なサインです。漏電とは、電気が本来の通り道から漏れ出している状態のことで、感電や火災を引き起こす重大な事故に直結します。IHやオーブンが原因の場合、主に以下のような要因が考えられます。
IHオーブン(グリル)内の汚れが炭化することで漏電の原因になる
IHやオーブン使用時に漏電ブレーカーが落ちる場合、最も疑わしいのがグリル庫内の汚れです。調理中に出た油や食材のカスがヒーターや庫内に付着し、繰り返し加熱されることで炭化します。炭化した汚れは電気を通す性質を持つため、これが漏電の原因となり、ブレーカーが作動することが非常に多いのです。「最近グリルの掃除をサボっていたな…」という方は、これが原因の可能性が高いでしょう。
その他の原因:吹きこぼれによる水分の侵入や経年劣化
グリルの汚れ以外にも、調理中の吹きこぼれがトッププレートの隙間や排気口から内部に侵入し、電子基板をショートさせてしまうケースもあります。また、設置から10年以上が経過した古いIHクッキングヒーターは、内部の配線や部品の絶縁体が劣化し、漏電しやすくなっている可能性も考えられます。
原因3:IHだけ使えない【安全ブレーカー】→ IHクッキングヒーター本体の故障
アンペアブレーカーも漏電ブレーカーも落ちていないのに、分電盤の「キッチン」や「IH」と書かれた小さな「安全ブレーカー」だけが落ちる場合、その原因はIHクッキングヒーター本体の故障である可能性が極めて高いです。これは、家の電気設備の問題ではなく、IH内部の部品に何らかの異常が発生しているサインです。
過酷な環境にあるグリルは「消耗部品」!ヒーターやセンサーの寿命かも
特にグリル(オーブン)部分は、高温と油汚れに常に晒される非常に過酷な環境にあります。そのため、メーカーによっては「消耗部品」と位置づけられるほど、他の部分よりも故障しやすい傾向にあります。
考えられる故障には、以下のようなものがあります。
- グリルヒーターの劣化・断線:加熱ムラができたり、全く温まらなくなったりする。
- 温度センサーの故障:温度制御がうまくできず、加熱しすぎたり、加熱が足りなくなったりする。
- 冷却ファンの故障:内部の熱を排出できず、安全装置が働いて停止する。
- 制御基板の故障:電源が入らない、操作ができないなど、動作全般に異常が出る。
これらの故障が原因で内部でショートなどが起こり、安全ブレーカーが作動していると考えられます。
修理業者を呼ぶ前に!自分で試せる応急処置と予防策
原因が特定できたら、専門家を呼ぶ前に自分でできることがいくつかあります。ただし、少しでも不安を感じたり、危険だと思ったりした場合は、絶対に無理をせず専門業者に相談してください。
【容量オーバー対策】契約アンペア数の見直しと電気の賢い使い方
容量オーバーが原因の場合は、日々の電気の使い方を工夫することで、ある程度は防ぐことができます。IHの2口とグリルを同時に最大火力で使わない、電子レンジや炊飯器と同時に使う時間をずらす、といった心がけが有効です。
しかし、それでも頻繁にブレーカーが落ちるようであれば、根本的な解決策として電力会社に連絡し、契約アンペア数を上げることを検討しましょう。例えば、40A契約を50Aや60Aに変更することで、生活に余裕が生まれます。ただし、契約アンペア数を上げると電気の基本料金が少し高くなり、一度変更すると原則1年間は元に戻せないので、ご家庭の電気使用状況をよく考えてから判断しましょう。
【漏電対策】火災を防ぐために!IHグリルの漏電センサーの正しい掃除方法【写真付きで解説】
漏電の原因がグリルの汚れにある場合、庫内を丁寧に掃除することで症状が改善する可能性があります。感電や火傷の危険がないよう、必ず以下の手順を守って安全に行ってください。
【最重要】安全確保のための準備(ブレーカーOFF・冷却・手袋)
掃除を始める前に、必ず以下の準備を徹底してください。安全が何よりも最優先です。
- ブレーカーをOFFに:分電盤のIHクッキングヒーター専用の安全ブレーカーを必ず「切」にします。
- 本体の冷却:調理直後は庫内が高温です。本体が完全に冷めていることを確認してから作業してください。
- ゴム手袋の着用:洗剤による手荒れや、万が一の感電を防ぐために、ゴム手袋を着用しましょう。
5ステップで完了!取り外しから乾燥までの正しい掃除手順
- 部品の取り外しと洗浄:グリル扉、焼き網、受け皿など、取り外せる部品をすべて外します。セスキ炭酸ソーダや重曹を溶かしたぬるま湯に浸け置きすると、油汚れが落ちやすくなります。
- 庫内の拭き掃除:中性洗剤をつけた布やスポンジで、庫内の側面、天井、床面の油汚れを拭き取ります。
- センサー周辺の重点清掃:【ポイント】漏電センサーは、多くの場合グリル庫内の奥や側面についています。割り箸にキッチンペーパーを巻き付けた「お掃除棒」に洗剤を少量つけ、センサー本体やその周辺にこびりついた炭化した汚れを優しく拭き取ります。センサーはデリケートな部品なので、絶対に強くこすらないでください。
- 洗剤の拭き取り:固く絞ったきれいな布で、庫内全体を数回水拭きし、洗剤成分を完全に取り除きます。
- 完全乾燥:すべての部品と庫内が完全に乾くまで、ドアを開けたまま自然乾燥させます。水分が残っていると新たな故障の原因になるため、焦らずしっかり乾かしましょう。
乾燥後、部品を元に戻し、ブレーカーを「入」にして動作を確認してください。これでブレーカーが落ちなければ、問題は解決です。
これは専門家の出番!修理か交換かを判断する見極めポイント
自分で対処しても症状が改善しない、または明らかに故障していると思われる場合は、専門家への依頼が必要です。その際、「修理」と「交換(買い替え)」のどちらを選ぶべきか、判断のポイントをご紹介します。
使用年数「10年」が分かれ目!修理と交換の賢い選択基準
IHクッキングヒーターの設計上の寿命は、一般的に8年~10年と言われています。
- 使用年数が7年未満の場合:修理を検討する価値は十分にあります。故障箇所を修理すれば、まだ数年は使える可能性が高いです。
- 使用年数が10年以上の場合:交換(買い替え)を強くおすすめします。たとえ数万円かけて一箇所を修理しても、寿命が近づいているため、すぐに別の部品が故障する「いたちごっこ」状態になる可能性が高いからです。メーカーの部品保有期間も過ぎ、修理自体ができないケースもあります。
【ポイント】一つの判断基準として、「修理費用が、同等機能を持つ新品の本体価格の半分を超える場合」は、長期的なコストパフォーマンスを考えて交換を選ぶのが賢明です。
こんな症状は危険!放置してはいけない故障の前兆サイン5選
ブレーカーが落ちる以外にも、以下のような症状が見られたら、それは故障が近いサインかもしれません。放置せず、早めに専門家に見てもらいましょう。
- 操作ボタンの反応が悪い、または反応しない
- 加熱中に「ブーン」「ジー」といった大きな異音がする
- 火力が安定せず、強くなったり弱くなったりする
- トッププレート(天板のガラス)にひび割れがある
- 特定のエラーコードが頻繁に表示され、リセットしても消えない
【賃貸物件の方へ】修理の前に必ず管理会社・大家さんへ連絡を!
もしお住まいが賃貸マンションやアパートの場合、絶対に自己判断で修理業者を手配しないでください。キッチンに備え付けられている設備は、大家さんの所有物です。経年劣化による故障の修理義務と費用負担は、基本的に貸主(大家さん)にあります。
不具合を見つけた場合は、まず管理会社や大家さんに連絡して指示を仰ぎましょう。自己判断で修理や交換を進めてしまうと、費用を負担しなければならなくなったり、退去時にトラブルの原因となることがあります。
どこに頼むのが正解?修理・交換業者の選び方と費用相場【プロが解説】
いざ専門業者に依頼するとなっても、どこに頼めばいいか迷いますよね。安心して任せられる業者を選ぶには、いくつかのポイントがあります。ここでは、電気工事のプロ集団である「ピカくま」を例に、優良な業者の特徴をご紹介します。
安心・迅速・低価格!電気工事のプロ「ピカくま」が選ばれる理由
IHクッキングヒーターの漏電や故障は、火災にもつながりかねない緊急性の高いトラブルです。そんな「今すぐ何とかしてほしい!」という状況で頼りになるのが、私たち「ピカくま」です。
- 有資格者による確実な対応:ピカくまには第二種電気工事士などの国家資格を持つプロが多数在籍。専門知識と豊富な経験で、漏電箇所の特定から安全な修理・交換作業まで確実に対応します。
- 365日・迅速な緊急対応:年中無休でご相談を受け付け、お近くの拠点からスタッフが迅速に駆けつけます。突然のトラブルでも安心してお任せください。
- 明朗会計と事前見積:必ず作業前に現場の状況をしっかり確認し、原因と作業内容、料金を明記した見積書をご提示します。ご納得いただいてから作業を開始し、後からの追加請求は一切ありません。
- 業界最安値への挑戦:自社スタッフが直接対応することで、中間マージンを徹底的にカット。高品質なサービスを、お客様にご負担の少ない価格で提供しています。
IHのブレーカーが落ちてお困りの際は、お気軽にピカくまの無料相談をご利用ください。お客様の不安を、安心に変えるお手伝いをいたします。

まとめ:IH・オーブンのブレーカー落ちは原因究明と冷静な対処が重要
今回は、IHクッキングヒーターやオーブン使用時にブレーカーが落ちる原因と、その対処法について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- まずは慌てず、分電盤で「どのブレーカー」が落ちたかを確認する。
- 原因を「容量オーバー」「漏電」「本体故障」のいずれかに絞り込む。
- 容量オーバーなら使い方を見直し、漏電の疑い(汚れ)があれば安全を確保して掃除を試す。
- 掃除で改善しない、本体の故障が疑われる、使用年数が10年近い場合は、無理せずプロに相談する。
特に「漏電」は火災や感電に直結する重大なトラブルです。絶対に放置せず、電気工事士の資格を持つ業者に点検を依頼しましょう。
本記事は、現役の電気工事士監修のもと、国民生活センターやメーカーの公開情報を参考に執筆しています。記事内容は一般家庭向けにわかりやすくまとめたものですが、状況によっては専門的な判断が必要になるケースもあります。
「IHやオーブンのブレーカー落ちで不安がある」「自分で掃除しても直らない」という方は、無理をせず専門業者へご相談ください。
参考リンク
- パナソニック|IHクッキングヒーター 商品ラインアップ
- 三菱電機|IHクッキングヒーター 製品紹介
- 厚生労働省|「漏電」の定義と安全対策
- 北海道電力グループ|電気の安全な使い方 ― 漏電・アース対策
- パナソニック サポート|屋内配線・ブレーカーの基礎知識
よくある質問
賃貸マンションで、大家さんに連絡せずに自分で業者を呼んで修理してしまいました。どうなりますか?
本来大家さんが負担すべき修理費用を、ご自身で支払わなければならなくなる可能性が非常に高いです。また、物件の設備を許可なく変更したと見なされ、後々のトラブルに発展するケースもあります。まずは正直に大家さんや管理会社に事情を説明し、支払った費用の領収書などを提示して相談してみることをお勧めします。
IHクッキングヒーターの修理や交換には、どれくらいの費用がかかりますか?
費用は故障の内容や機種によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 部品交換の修理:20,000円~50,000円程度(グリルヒーター、センサー、基板など)
- 本体の交換(買い替え):100,000円~250,000円程度(製品代+工事費)
正確な費用は、必ず業者に現場を見てもらい、見積もりを取って確認してください。
グリルを掃除しても、やっぱり漏電ブレーカーが落ちてしまいます。
ご自身で清掃しても改善しない場合、汚れが原因ではない他の問題が考えられます。例えば、漏電センサー自体の故障、内部配線の劣化、制御基板の不具合など、分解しないと分からない深刻なトラブルの可能性があります。感電や火災のリスクがあるため、すぐに使用を中止し、速やかに専門の電気工事業者やメーカーに点検を依頼してください。
契約アンペアを上げると、毎月の電気代はどれくらい高くなりますか?
契約アンペアを上げると、電気の「基本料金」が上がります。上がる金額は電力会社によって異なります。例えば、東京電力パワーグリッドの場合(2024年時点)、40A契約から50A契約に変更すると月額295.24円、60A契約に変更すると月額590.48円、基本料金が高くなります。電気の使用料金(電力量料金)は変わりません。ご契約の電力会社のウェブサイトで料金プランを確認してみてください。




