寒い冬の夜、家族団らんの時間や、一人でほっと一息ついている時に、暖房器具をつけたとたん「バチン!」という音とともに家が真っ暗に…。

こんな経験はありませんか?

突然の停電に、「またか…」というストレスや、「もしかして故障や漏電かも?」という不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

ご安心ください。
この記事は、そんな冬場の厄介なブレーカー落ちに悩むあなたのために、電気工事のプロが原因から対策までを分かりやすく解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、暖房器具によるブレーカー落ちの根本的な原因、誰でも実践できる安全な復旧方法、さらに再発を防ぐための具体的な対策までを幅広く知ることができます。

まずは落ち着いて確認!落ちたのは3種類のうちどのブレーカー?

突然家が真っ暗になると、誰でも慌ててしまいますよね。
でも、まずは落ち着いて、ご自宅の「分電盤」を確認しにいきましょう。

分電盤は、玄関や洗面所、廊下の壁などにあることが多い、プラスチック製のカバーが付いた箱です。

カバーを開けると、たくさんのスイッチ(ブレーカー)が並んでいます。ブレーカーには大きく分けて3つの種類があります。
どのブレーカーが落ちた(スイッチが下がった)かによって、原因と対処法が全く異なります。

 

①アンペアブレーカー:家全体の電気の使いすぎ

一番左側にある、最も大きなスイッチです。
電力会社との契約アンペア(例:「30A」などと書かれている)を決めるもので、これが落ちた場合は、家全体で契約量以上の電気を同時に使ってしまったサインです。
いわば、電気の「総量オーバー」ですね。

②安全ブレーカー:部屋ごとの電気の使いすぎ or ショート

アンペアブレーカーの右側に並んでいる、たくさんの小さなスイッチです。
これらはリビング、キッチン、寝室など、各部屋やコンセントの回路ごとに分かれています。
特定のスイッチだけが落ちている場合は、その回路で電気を使いすぎているか、接続されている家電がショートしている可能性があります。

③漏電ブレーカー:漏電の危険サイン!火災・感電に要注意

多くはアンペアブレーカーと安全ブレーカーの間にあり、「漏電」と書かれた赤いテストボタンが付いています。
これが落ちた場合は最も注意が必要です。
家のどこかで電気が漏れている(漏電している)ことを知らせる危険なサインで、感電や火災につながる恐れがあります。

【原因特定】暖房器具を使うとブレーカーが落ちる主な理由

どのブレーカーが落ちたか確認できたら、次に「なぜ落ちたのか」の原因を探っていきましょう。
特に冬場、暖房器具を使ったときにブレーカーが落ちやすくなるのには、はっきりとした理由があります。

暖房器具は消費電力の王様!同時に使うと危険な家電リスト

結論として、暖房器具は他の家電製品と比べて非常に多くの電気を消費します。

電気の消費量を表す単位を「ワット(W)」と言いますが、この数値が大きいほど、たくさんの電気を使うことになります。
下の表を見てみましょう。

暖房器具・家電製品 消費電力の目安(ワット/W) アンペア(A)換算 ※100Vの場合
エアコン(暖房・立ち上がり時) 1,500W~2,000W 15A~20A
電気ストーブ 900W~1,200W 9A~12A
オイルヒーター 600W~1,500W 6A~15A
こたつ 500W~600W 5A~6A
電子レンジ 1,300W~1,500W 13A~15A
ドライヤー 1,200W 12A
電気ケトル 1,200W 12A
IHクッキングヒーター(1口) 1,400W 14A

※アンペア(A) = ワット(W) ÷ 100(V) で計算

例えば、ご家庭の契約が30Aの場合を考えてみましょう。
リビングでエアコンの暖房(15A)をつけ、キッチンで電子レンジ(13A)を使い、お湯を沸かそうと電気ケトル(12A)のスイッチを入れたとします。
すると、合計で 15A + 13A + 12A = 40A となり、ご家庭の契約アンペア(30A)を大きく超えてしまいます。そのため、アンペアブレーカーが電気の使用量が契約より多いと判断して、家全体の電気を遮断します。

これが、冬場に暖房器具を使うとブレーカーが落ちやすくなる最大の原因です。

【図解】誰でもできる!安全なブレーカーの復旧手順3ステップ

原因がわかったら、次は電気を復旧させましょう。
焦って適当にスイッチを上げると、原因が特定できなかったり、危険な場合もあります。
以下の手順で、安全に復旧作業を行いましょう。

【ステップ1】 使用中の家電の電源プラグをすべて抜く
まず、ブレーカーが落ちたときに使用していた家電製品、特に消費電力が大きい暖房器具や電子レンジ、ドライヤーなどの電源プラグをコンセントから抜いてください。これにより、原因の特定がしやすくなります。

【ステップ2】 ブレーカーを正しい順番で「入」にする
分電盤に戻り、以下の順番でブレーカーのスイッチを「入(上にあげる)」にしてください。

  1. アンペアブレーカーを「入」にする。
  2. 漏電ブレーカーを「入」にする。
  3. 安全ブレーカーを一つずつ、ゆっくりと「入」にしていく。

【ステップ3】 原因となっている回路や家電を特定する
もし、安全ブレーカーを一つずつ上げていく途中で、再びブレーカーが落ちた場合、その回路が原因です。
特に漏電ブレーカーが落ちた場合は、この手順で漏電している回路を特定できます。

  • アンペアブレーカーが落ちた場合:
    電気の使いすぎが原因です。抜いた家電の数を減らしてから、もう一度ブレーカーを入れ直しましょう。
  • 安全ブレーカーが落ちた場合:
    その回路での電気の使いすぎです。その回路に繋がっているコンセントから、使う家電の数を減らしましょう。
  • 漏電ブレーカーが落ちた場合:
    特定した回路の安全ブレーカーは「切」のままにしておき、すぐに専門の電気工事会社に連絡してください。漏電は非常に危険です。

もう繰り返さない!今日からできるブレーカー落ちの根本対策4選

無事に電気が復旧しても、また同じことを繰り返しては意味がありません。
ここでは、今後ブレーカー落ちに悩まされないための、根本的な対策を4つご紹介します。

対策①:家電を使う時間やコンセントを分散させる

最も簡単ですぐに始められる対策です。
「電子レンジを使う間は、エアコンをいったん消す」「ドライヤーを使う場所と、電気ストーブを使う場所は別の部屋(別の回路)にする」など、消費電力の大きい家電を同時に使わない工夫をしましょう。

特に、一つのコンセントから複数の電源を取る「タコ足配線」は、過剰な電流が流れて熱を持ち、火災の原因にもなるため大変危険です。
消費電力の大きい暖房器具は、壁のコンセントから直接電源を取るようにしてください。

対策②:暖房器具の賢い選び方・使い方で消費電力を抑える

暖房器具の使い方を見直すだけでも、消費電力を抑えてブレーカー落ちのリスクを低減できます。

  • エアコンの設定温度を見直す:環境省によると、暖房時の適切な室温は20℃が目安です。設定温度を1℃下げるだけで、約10%も電気代の節約につながると言われています。
  • 部屋の断熱性を高める:窓に断熱シートを貼る、厚手のカーテンを使うなど、ちょっとした工夫で暖房効率が改善します。
  • 部分暖房を取り入れる:部屋全体を暖めるエアコンに加え、足元を暖めるこたつや電気毛布を併用することで、快適さを保ちながら消費電力も抑えられます。

これから暖房器具を買い替えるなら、省エネ性能の高いモデルや、消費電力を抑えるモードが付いた製品を選ぶのも賢い選択です。

対策③:電力会社との契約アンペアを見直す

「いろいろ工夫しても、どうしてもアンペアブレーカーが落ちてしまう…」
そんな場合は、ご家庭のライフスタイルに対して、契約アンペア数そのものが足りていないのかもしれません。

電力会社に連絡すれば、契約アンペア数を上げることができます。
ただし、契約アンペア数を上げると毎月の電気の基本料金も上がりますので、ご家庭の電気使用状況と家計のバランスを考えて慎重に検討しましょう。

こんな時はすぐ相談!プロに任せるべき危険なサインと費用相場

ブレーカーが落ちる原因の多くは電気の使いすぎですが、中には放置すると非常に危険なケースもあります。
以下のようなサインが見られたら、ご自身で判断せず、すぐに私たちのようなプロの電気工事会社にご相談ください。

  • 漏電ブレーカーが落ち、原因の回路が特定できない
  • 復旧手順を試しても、まったく電気がつかない
  • ブレーカーを「入」にしても、すぐにまた落ちてしまう
  • 分電盤やブレーカーから、焦げ臭いにおいや「ジー」という異音がする
  • ブレーカー本体が異常に熱を持っている、変色している

これらの症状は、漏電や配線のショート、ブレーカー自体の故障など、専門的な知識と技術がなければ解決できない深刻なトラブルの可能性があります。
無理に自分で直そうとすると、感電や火災といった重大な事故につながりかねません。

私たち「ピカくま」は、国家資格である電気工事士が多数在籍しており、深夜や休日でも最短即日で駆けつけます。
必ず作業前に原因を特定し、明確なお見積もりをご提示しますので、後から追加料金が発生することもありません。
少しでも不安を感じたら、迷わずお気軽にご相談ください。

まとめ:原因を理解して賢く対策し、安心して暖かい冬を過ごそう

今回は、冬場に暖房器具でブレーカーが落ちる原因と対策について詳しく解説しました。
最後に、大切なポイントを振り返りましょう。

  1. ブレーカーには3種類あり、どれが落ちたかで原因が違う。
  2. 最大の原因は、消費電力の大きい暖房器具と他の家電の同時使用による「電気の使いすぎ」。
  3. 復旧は「家電を抜く→ブレーカーを順番に入れる」が鉄則。
  4. 漏電ブレーカーが落ちたり、分電盤やブレーカーから異音や異臭がした場合は、速やかに専門家へ相談しましょう。

ブレーカーが落ちるのは、電気を安全に使うための大切な仕組みが正常に働いている証拠です。
その原因を正しく理解し、日々の電気の使い方を少し工夫するだけで、冬の厄介な停電は防ぐことができます。

そして、もしご自身での解決が難しい場合や、少しでも不安を感じることがあれば、いつでも私たち「ピカくま」にご連絡ください。
そして、もしご自身での解決が難しい場合や、少しでも不安を感じることがあれば、いつでも私たち「ピカくま」にご連絡ください。
あなたが安心して暖かい冬を過ごせるよう、電気のプロが全力でサポートします。

よくある質問

いつもと同じ使い方なのに、急にブレーカーが落ちるようになりました。なぜですか?

家電製品や屋内の電気配線、ブレーカー自体が経年劣化している可能性があります。特に10年以上使用している古い家電や住宅の場合、見えない部分で配線が傷んでいたり、ブレーカーの性能が落ちていたりすることが考えられます。一度、専門家による点検をおすすめします。

ブレーカーが頻繁に落ちることで、家電が故障することはありますか?

可能性はあります。特にパソコンやハードディスクレコーダーのような精密機器は、突然の電源遮断によってデータが破損したり、内部の部品が損傷したりすることがあります。頻繁に落ちる状況は、家電にとっても良い環境とは言えません。