「最近、ブレーカーがよく落ちる気がする…」
「先月の電気代が、なぜか普段より高い…」
「家電に触ったら、ピリッとした感じがあった…」

こうした現象は、「漏電」のサインかもしれません。

漏電は、火災や感電などの大きな事故につながる恐れがある、見過ごせない危険な状態です。

突然こうしたトラブルが起きると、「どう対応したらいいの?」「誰に相談すればいいの?」と不安や焦りを感じるのは当然です。

ですが、ご安心ください。

この記事では、電気の専門知識がなくても、自宅で安全に漏電を確かめられる具体的な方法を、順を追って分かりやすくご紹介します。

最後まで読めば、自分でできる点検方法や原因の特定、万が一のときの正しい対処法まですべて理解できるようになります。

パニックになる必要はありません。
まずは落ち着いて、一つずつ状況を確認していきましょう。

まずは落ち着いて!この症状、漏電かも?危険なサインを見逃さない

漏電は、目に見えない場所でこっそり進行していることがあります。
しかし、私たちの身の回りにも漏電を知らせるいくつかのサインが見られることがあります。
こうした症状は、電気設備からの大切な警告です。
「ちょっとした不調かな」と軽く考えず、火災や感電のような最悪の事態を避けるためにも、サインの意味をきちんと理解しましょう。

漏電ブレーカーがよく落ちる

分電盤にある「漏電ブレーカー」が落ちるのは、家のどこかで電気が漏れていることを検知した、最も分かりやすいサインです。
一度だけでなく、何度も繰り返し落ちる場合は、漏電が長く続いている可能性が高いといえます。
これは電気系統の「異常発生」を知らせるハッキリとした警告なので、絶対に放置してはいけません。

電気代が急に高くなった

普段通りに電気を使っているはずなのに、電気代だけ大幅に上がっている場合も注意が必要です。
漏電している電気は、本来の家電を動かすためではなく、別の場所に流れ続けています。
この無駄に流れている電気も電力メーターには「使用量」として計算されるため、使った覚えがなくても電気代が高くなってしまうのです。

家電やコンセントに触れるとピリピリする

洗濯機や冷蔵庫といった金属部分が多い家電や、コンセントのあたりを触ったときに「ピリッ」とした静電気のような刺激がある場合は要注意です。
それは、漏電でごくわずかな電流が体に流れる「感電」のサインかもしれません。
特にキッチンや洗面所のような水回りでは、体が濡れているとより電気が通りやすくなるため、危険度が高まります。
どんなに小さな刺激でも、重大な感電事故の前兆として考えてください。

【緊急】焦げ臭いにおいや火花が見える

コンセントや家電製品のまわりでプラスチックが焦げるようなにおいがしたり、プラグの抜き差しで火花が見えたりするのは、非常に危ない状態です。
これは漏電によって配線がショートし、すでに高熱が発生している証拠です。
火災に発展する危険性が非常に高いので、一刻も早く対応が必要です。
この場合は自分で点検しようとせず、すぐに家全体のブレーカーを切り、消防や電気工事の専門会社に連絡してください。

知識ゼロでも大丈夫!自分でできる漏電の安全な点検・特定方法

「漏電の点検」と聞くと、難しそうに感じるかもしれません。
しかし、自宅の分電盤を使えば、専門知識がなくても安全に漏電の場所を調べることができます。
ここでは、誰でも進めやすいよう、4つのステップに分けて説明します。

ステップ1:分電盤の3つのブレーカーの役割を知ろう

点検を始める前に、分電盤にある3種類のブレーカーについて理解しておきましょう。
それぞれのブレーカーの役割を知ることで、これから行う作業も安心して進められます。

ブレーカーの種類 主な役割 特徴
アンペアブレーカー 家全体で使える電気の総量を管理 電力会社との契約アンペアを超えると落ちる。一番大きいブレーカーで、左側にあることが多い。
漏電ブレーカー 漏電(電気が漏れること)を検知 漏電を検知すると家全体の電気を止める。感電や火災を防ぐ安全装置。「テストボタン」が付いている。
安全ブレーカー 各部屋や回路ごとの電気を管理 電気の使いすぎ(過電流)やショートが起きると、その回路だけを遮断する。複数の小さいブレーカーが並んでいる。

ステップ2:漏電ブレーカーのテストボタンで動作確認

つづいて、漏電ブレーカーの機能確認をします。
この装置は、万が一のときに命を守る大切な安全装置です。
正常に動くか、定期的にチェックしておく習慣も大切です。

まず、漏電ブレーカーのつまみが「入」になっているか確かめます。
次に、ブレーカーに付いている赤や黄色の「テストボタン」をしっかり押します。
問題なければ、「カチッ」という音とともにつまみが「切」に動き、家全体の電気が止まります。
動作確認が終わったら、つまみを「入」に戻して電気を元通りにしましょう。

もしテストボタンを押してもブレーカーが落ちない場合は、ブレーカー自体が故障している可能性があります。
この状態では漏電をチェックできずとても危険なので、すぐに専門家に連絡し交換してもらってください。

ステップ3:ブレーカー操作で漏電している回路を特定

実際に漏電ブレーカーが落ちたときは、次の方法でどの回路に問題があるのかを調べられます。
これが原因特定のために一番大事な手順です。

手順① すべての安全ブレーカーを「切」にする

分電盤の右側に並んだ小さな安全ブレーカーを、全て「切」にします。
家のすべての回路への電気供給を止め、安全に作業を始めます。

手順② 漏電ブレーカーを「入」に戻す

次に、中央にある漏電ブレーカーのつまみを「入」に戻します。
この時点で漏電ブレーカーがすぐ落ちるなら、分電盤自体や太い電線(幹線)に問題がある可能性が高いので、専門家に連絡してください。

手順③ 安全ブレーカーをひとつずつ「入」にする

「切」にした安全ブレーカーを、端から1つずつ「入」に戻していきます。
そのたびに数秒ずつ待ち、漏電ブレーカーが落ちないか確認します。
これを順番に繰り返し、ある安全ブレーカーを「入」にした瞬間に漏電ブレーカーが落ちたなら、その回路が漏電の原因です。
例えば「台所」と書かれたブレーカーで落ちたなら、台所の配線や家電が原因かもしれません。

ステップ4:コンセントの抜き差しで原因の家電を特定

ステップ3で漏電が発生している回路が分かったら、今度はその回路につながる家電が原因か、壁の中の配線が原因かを調べます。

まず、分かった回路(例:台所)で使っている全ての家電のプラグをコンセントから抜きます。
そして、漏電ブレーカーとその回路の安全ブレーカーを「入」に戻します。
この状態でブレーカーが落ちなければ、配線の問題ではなく、抜いた家電のどれかに原因があると考えられます。
次に、抜いた家電を1つずつコンセントに差し直し、ある家電を差した瞬間にブレーカーが落ちたら、その家電が漏電の元凶です。

自分で点検しても原因が分からない時の相談先と費用相場

自分で点検しても原因が分からなかったり、原因は分かっても自分で直せない場合は、無理をせず専門家に相談しましょう。
その際、「どこに頼むのが正解?」「費用は高くならない?」と新たな心配も出てきます。
ここでは状況別の相談窓口や、費用の目安をご紹介します。

どこに連絡すればいい?状況ごとの相談先

ご自分の状況に合わせて、最適な相談先を選びましょう。

【無料調査あり】まずは地域の電力会社へ

「原因だけでも知りたい」という場合は、まず契約している電力会社(東京電力、関西電力など)に連絡しましょう。
多くの電力会社では、漏電調査を無料で行ってくれます。
ただし、調査までが電力会社の役割で、修理や部品交換が必要な時は、電気工事店に別途依頼する必要があります。

【修理も依頼したい場合】地域の電気工事店

原因調査から修理まで一度に済ませたいときは、地元の電気工事店に直接依頼するのが便利です。
インターネットで「地域名 電気工事 漏電」などと検索すれば、近くの業者がたくさん見つかります。
依頼の際は、あとで説明する「悪質な業者の見極め方」を参考にしてください。

【賃貸の場合】まず管理会社・大家さんへ

マンションやアパートなどの賃貸の場合は、自分で業者を探す前に、必ず管理会社や大家さんに連絡しましょう。
建物の設備トラブルは、まず管理者に報告するのが原則です。
また、修理費用の負担も、原因が借主側か建物側かで異なるため、先に相談することが大切です。

漏電調査・修理の費用相場

専門業者に頼んだ場合の費用は、作業内容によって変わります。
事前におおまかな相場を知っておくことで、思わぬ高額請求も防げます。

作業内容 費用相場(目安) 備考
漏電調査・原因特定 8,000円 ~ 15,000円 修理を伴わない、調査のみの場合。
コンセント・スイッチの交換 10,000円 ~ 20,000円 部品代・作業費込み。
漏電ブレーカーの交換 15,000円 ~ 30,000円 ブレーカー本体の価格による。
配線の部分修理・引き直し 20,000円 ~ 作業範囲や難易度による。
時間外・深夜・休日料金 3,000円 ~ 10,000円 基本料金に加算されることが多い。

※上記金額は目安です。実際の料金は、必ず見積もりを取ってご確認ください。

注意!悪質な業者を見抜く3つのチェックポイント

残念ながら、お客さまの不安に乗じて高額請求をする業者も存在します。
トラブルを避けるため、次の3つのポイントを必ず確認しましょう。

  1. 作業前に詳細な見積書を出してくれるか
    信頼できる業者は、作業を始める前に金額や内容を書いた見積書を見せ、説明してくれます。「やってみないとわからない」と曖昧なまま作業を始める業者は要注意です。
  2. 電気工事士の資格を持っているか
    家庭の電気工事には、「第二種電気工事士」の国家資格が必要です。有資格者がいるかどうかを直接聞いたり、会社のウェブサイトで確認しましょう。
  3. 複数の業者から見積もりを取る(相見積もり)
    急を要さない場合は、1社だけでなく2~3社に見積もりを取る「相見積もり」をしましょう。料金やサービスを比較できるので、極端に高い請求を避けられます。

今日から実践!漏電を防ぐ4つの簡単な予防策

トラブルが解決したら、同じことを繰り返さないための予防も重要です。
日々のちょっとした心がけで、漏電リスクは大きく下げられます。
すぐに実行できる4つの予防ポイントをご紹介します。

  1. アース線をきちんと接続する洗濯機・電子レンジ・冷蔵庫など、水まわりで使う家電や金属製の外装がある家電には、緑色のアース線が付いています。 アース線は、万が一漏電したときに電気を安全に地面に逃がす役割があります。 コンセントにアース端子があれば、必ず接続してください。
  2. たこ足配線をやめ、コンセントまわりを定期的に掃除する1つのコンセントから電源を取りすぎる「たこ足配線」は、コードが熱を持って劣化し、漏電の原因になります。 また、コンセントとプラグのすき間にたまったホコリが湿っていると、火事につながる「トラッキング現象」が起きます。 電源タップの使用は最小限にし、コンセントはこまめに乾いた布で掃除しましょう。
  3. 水回りや屋外コンセントの使い方に注意キッチン・洗面所・トイレのような水回りは、漏電が起こりやすい場所です。 濡れた手でプラグを抜き差ししない、コンセントに水がかからないように気をつけるなど、基本的なことを守りましょう。 また、屋外のコンセントは雨水の影響を受けやすいため、防水カバーが付いているかときどき確認し、壊れていれば交換を。

キッチン・洗面所・トイレのような水回りは、漏電が起こりやすい場所です。
濡れた手でプラグを抜き差ししない、コンセントに水がかからないように気をつけるなど、基本的なことを守りましょう。
また、屋外のコンセントは雨水の影響を受けやすいため、防水カバーが付いているかときどき確認し、壊れていれば交換を。

まとめ:漏電への不安を解消し、安全で快適な毎日を

今回は、漏電のサインから自分でできる点検方法、専門家への相談方法、そして予防策まで解説しました。

重要なポイントは次の通りです。

  • 漏電のサインに気づいたら、まずは分電盤で原因の回路を特定してみる。
  • 自分で原因が分からない時や対応できない時は、必ず専門家(電力会社や電気工事店)に相談する。
  • 日ごろからアース線の接続やコンセント周辺の掃除を心がけ、再発を防ぐ。

漏電は目に見えない分、不安になりがちなトラブルですが、正しい知識と手順があれば、落ち着いて安全に対処できます。

この記事が、あなたの漏電に対する不安を解消し、安心・安全な暮らしのお手伝いになれば幸いです