「あれ、今、家電に触ったらビリっとしたかも…」

「またキッチンのブレーカーが落ちた!一体なぜ?」

ご自宅の漏電を疑っておられますか?そして、「漏電チェッカー」という道具について聞いて、なんとか自分で原因を突き止められないか、コストをかけずに解決できないか、と方法を探しているのではないでしょうか。

ですが、電気工事のプロとして、あえて申し上げます。その「漏電チェッカー」、今すぐ買うのは待ってください。

あなたが求めている漏電調査には、もっと安全で、確実で、そして0円で今すぐできる方法があります。

この記事では、現役の電気工事士である私が、以下すべてを、専門用語をなるべく使わずに、分かりやすく徹底解説します。

  1. 道具不要!0円でできる安全な漏電箇所の特定方法(ブレーカー調査)
  2. なぜ漏電チェッカーの素人判断が危険なのか
  3. 安全なDIYと、プロに任せるべき法律の境界線
  4. プロの調査費用と、信頼できる業者の見分け方

この記事を読めば、あなたの不安は「何をすべきか」という具体的な行動への確信に変わるはずです。

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漏電チェッカーは不要!0円でできる唯一の安全な漏電箇所の特定方法

漏電チェッカーは不要!0円でできる唯一の安全な漏電箇所の特定方法

漏電している可能性が高いとわかったら、いよいよ漏電チェッカーの出番…ではありません。その高価な道具を買う前に、そして私たちプロを呼ぶ前に、あなたが「今すぐ」「0円で」「安全に」できる、最も効果的な調査があります。

それは、ご自宅の分電盤を使った調査です。この方法は、漏電している回路(部屋やコンセントのグループ)を特定する、プロも最初に行う切り分け作業です。

そもそも漏電以外のトラブル?ショート(短絡)、使いすぎとの簡単な見分け方

「ブレーカーが落ちた」と言っても、原因は一つではありません。ご自宅の分電盤(ブレーカーが集まった箱)を見てください。

安全ブレーカー(複数の小さいスイッチ)が落ちる場合

安全ブレーカー(複数の小さいスイッチ)が落ちる場合、考えられる原因は漏電ではなく以下の2つです。

  1. 使いすぎ(過電流)
  2. ショート(短絡)

過電流については、電子レンジとトースターとドライヤーを同時に使った、など原因が明確なはずです。その家電の使用を止めれば復旧します。

短絡については、コードが断線したり、コンセントに水が入ったりして、電気の通り道が異常に接続された状態です。

火花が出ることもあり危険です。すぐに電気工事会社に連絡してください。

漏電ブレーカー(ELB)が落ちた場合

一方、漏電ブレーカー(ELB)が落ちた場合、家のどこかで電気が漏れています。つまり、漏電の可能性が高いです。漏電ブレーカーは「テスト」と書かれたボタンが付いている、少し大きめのスイッチです。

分電盤を使った安全な漏電回路の調べ方(4ステップ)

安全のため、必ず乾いた手で、足元が濡れていないことを確認して作業してください。

  1. 分電盤のフタを開ける
  2. 並んでいる小さいスイッチ(安全ブレーカー)を、すべて「切」(下側)にします。
  3. 漏電ブレーカー(テストボタンがあるもの)と、その隣(または一番端)にある最も大きいアンペアブレーカーの2つだけを「入」(上側)にします。
  4. 「切」になっている安全ブレーカーを、端から1つずつ「入」(上側)にしていきます。
    1つ入れたら3秒待つ、くらいのペースで構いません。
  5. 漏電ブレーカーが「切」になるか確認

安全ブレーカーを1つずつ「入」にしていく途中で、もし漏電ブレーカーが再び「切」(下側)に落ちたら、その直前に「入」にした安全ブレーカー(例:「キッチンA」「2階洋室」など)が漏電している原因の回路です。

もしご自宅の分電盤が非常に古く、この漏電ブレーカーが見当たらない場合は、漏電しても電気が遮断されない非常に危険な状態です。調査は中止し、すぐに電気工事会社にご相談ください。

漏電回路を特定したらどうする?

さて、上記の調査で、例えば「キッチンA」の安全ブレーカーを入れた瞬間に漏電ブレーカーが落ちたとします。これで原因回路が特定できました。

次にやるべきことは、漏電している回路(「キッチンA」)の安全ブレーカーは「切」のままにして、他の安全ブレーカーをすべて「入」に戻すことです。

こうすることで、「キッチンA」以外の電気(リビングの照明、お風呂、寝室のエアコンなど)は安全に使えるようになり、当面の生活は復旧できます。これはプロが現場で行う応急処置と同じ考え方です。

ただし、これは根本的な解決ではありません。漏電の原因(家電か配線か)は特定できておらず、危険な状態は続いています。

特定した回路(キッチンA)のコンセントからは全ての家電を抜いた上で速やかにプロの調査を依頼してください。

なぜ一般家庭で漏電チェッカーを買うのを推奨しないのか?

なぜ一般家庭で漏電チェッカーを買うのを推奨しないのか?

ここまで読んでいただいた方は、「ブレーカー調査で回路までは分かった。じゃあ、その回路に『漏電チェッカー』を使えば、原因の家電が分かるのでは?」とお考えかもしれません。

そのお気持ちはよく分かります。しかし、私たちプロが一般の方に漏電チェッカーの購入を推奨しないのには、明確な3つの理由(リスク)があるのです。

買おうとしているその漏電チェッカーは漏電を本当に測れますか?

あなたがAmazonなどで漏電チェッカーと検索して、数千円で手頃な価格のものを見つけたとします。しかし、そのほとんどは負荷電流測定用のクランプメーターです。

これは、家電が今どれだけ電気を使っているか(アンペア)を測るための道具で、私たちも電気代の目安を調べたりするのに使います。しかし、一般家庭のほとんどの漏電は「漏れ電流」という非常に微小な電流です。

数千円程度で売られている「負荷電流用」メーターでは、漏れ電流は全く測定できません。

本当に漏電を測定できる「漏れ電流測定用(リーククランプメーター)」は、プロ用で数万円以上と高価です。せっかく道具を買ったのに、目的のものが測れなければ、無意味になってしまいます。

正しい測定には専門知識が必要(感電リスクも)

仮に高価な「漏れ電流測定用」チェッカーを手に入れたとします。しかし、使い方もまた専門的です。

クランプメーターは、電線を「1本だけ」挟んで測定するのが大原則です。ですが、壁のコンセントや家電のコードは、電気が「行く線」と「返る線」の2本(+アース線)が内部で束になっています。

この束のまま挟んでも、電流は測れません。

正しい測定のためには、分電盤のカバーを開け、高圧電流が流れる端子台から測定したい回路の電線を特定し、1本ずつ危険な作業をしながら挟む必要があります。

言うまでもありませんが、これは電気工事士の資格を持つプロが絶縁手袋などの防護具をつけて行う作業です。知識のない方が分電盤の内部を触れば、命に関わる感電事故に直結します。

原因が家電か配線か、チェッカーだけでは特定困難

百歩譲って、安全に測定できたとしましょう。そして「キッチンの回路で30mAの漏れ電流がある」と数値が出たとします。

では、その原因は食洗機の故障でしょうか?それともコンセント内部の劣化でしょうか?あるいは壁の中の配線が、雨漏りで濡れているのでしょうか?

残念ながら、漏電チェッカー(クランプメーター)だけでは、この根本原因の切り分けは困難です。

私たちプロは、漏電チェッカーだけでなく、絶縁抵抗計(メガー)という別の専用測定器を使い、回路の絶縁性能そのものを数値化します。

回路から家電をすべて外し、配線だけの状態で測定し、次に家電を1つずつ接続して測定する…といった地道な切り分けを行うしかありません。そこまでして、初めて原因を特定できるのです。

結局、数万円の道具を買っても原因はわからず、プロを呼ぶことになるなら、最初から頼んだ方がコスパが良いと思いませんか?

漏電の調査と修理のDIYはどこまで可能?

漏電の調査と修理のDIYはどこまで?

知っておいてほしい安全と法律の境界線があります。この一線を越えると、あなたは大きなリスクを背負うことになります。

ココまでが安全なDIY:漏電箇所の特定(ブレーカー操作まで)

一般のあなたが、ご自宅で安全かつ合法的に行える漏電対応は、「分電盤のブレーカー操作による、漏電回路の特定」までです。

「キッチンの安全ブレーカーが怪しい」と特定できたら、そのブレーカーを「切」にし、コンセントから家電を抜いておく。安全なDIYはそこまでです。

ですが、これは非常に価値のある作業です。ここまでやっていただけると、私たちプロが調査にお伺いした際、「この回路ですね」とすぐに本調査に取り掛かれます。

原因究明がスムーズになり、結果としてお客様の調査時間の節約(=コスト削減)につながることもあります。

ココからがプロの領域:原因究明と修理・交換

そして、ここから先は電気工事士の国家資格を持つプロの領域です。

  • 分電盤のカバーを開けて、内部の配線を触る作業
  • コンセントやスイッチの交換、修理
  • 壁の中の配線の引き直しや、修理
  • 絶縁抵抗計など専用測定器を使った漏電の原因究明作業

これらの作業は、法律(電気工事士法)によって、資格を持つ者しか行ってはならないと定められています。あなたのDIY修理が原因で火災が発生した場合、無資格による不適切な施工と判断され、火災保険や家財保険が一切適用されない可能性もあります。

プロの漏電調査は何をする?料金相場と信頼できる業者の選び方

プロの漏電調査は何をする?料金相場と信頼できる業者の選び方

「プロに頼むべき」とは言われても、「一体いくらかかるのか」「変な業者にぼったくられないか」と不安ですね。その金銭的な不安を解消することも、私たちプロの仕事です。

プロが使う専用測定器とは?(絶縁抵抗計とクランプメーター)

私たちがお客様のお宅に到着したら、まずはブレーカー操作で状況を再確認します。その後、いよいよ専用測定器の出番です。

主に使用するのは、あなたが検索したクランプメーター(漏れ電流用)と、より重要な絶縁抵抗計(メガー)です。

絶縁抵抗計とは、電線や家電の絶縁(電気が漏れないようにする性能)が、どれくらい低下しているかをメガオーム(MΩ)」という数値で正確に測定する機器です。

問題の回路(例:キッチンA)の安全ブレーカーを「切」にし、コンセントに挿さっている家電をすべて抜いた状態で、まず配線そのものの絶縁抵抗を測ります。ここで異常がなければ、次に家電を1台ずつ挿しながら測定し、原因を特定していきます。

漏電調査にかかる費用相場(調査と修理は別)

気になる費用ですが、漏電の原因調査の費用相場は13,000円 ~ 19,000円程度です。絶縁抵抗計などを使って、漏電の根本原因を突き止めるまでの技術料・出張費です。

多くの電気工事会社では以下に分かれています。

  1. 漏電の原因調査
  2. 修理・改修工事

まずは①の漏電調査を依頼し、原因を特定した上で、②の修理費用の見積もりをもらう、というのが最も賢明な流れです。

漏電修理にかかる費用相場

修理・改修工事の費用相場は原因により変動します。

  • コンセントやスイッチの交換: 4,000円 ~ 9,000円
  • 漏電ブレーカー本体の交換: 20,000円 ~ 24,000円
  • 壁内の配線の部分的な引き直し: 20,000円 ~

「調査費は〇〇円、修理費は別途見積もり」と明確に説明してくれる業者を選びましょう。

失敗しない!信頼できる電気工事会社の選び方3つのポイント

悪徳業者に騙されないために、プロを見極める3つのポイントをお伝えします。

登録電気工事業者であるか確認する

まっとうな電気工事会社は、必ず国や都道府県に「登録電気工事業者」として登録されています。公式サイトの会社概要や、営業所の標識で「登録番号(〇〇県知事登録 第XXXXX号など)」を確認しましょう。

現地調査と明瞭な見積書を提示するか

電話口で「漏電修理?全部で5万円です」などと、現地調査もせずに金額を確定する業者は危険です。必ず現地で状況を確認し、調査費、修理費が明記された書面の見積もりをくれる業者を選びましょう。

実績が豊富で、あなたの不安に寄り添ってくれるか

  • 公式サイトに施工事例は豊富か
  • 電話や現地の対応は丁寧か
  • 「なぜこの工事が必要なのか」を、あなた(素人)が納得できるように説明してくれるか
  • 即日対応が可能

まとめ

漏電チェッカーを検索したあなたの不安は、解消されたでしょうか。

漏電を疑ったら、まずは分電盤のブレーカー調査を実行してください。 これが、あなたが0円でできる、最も安全で効果的なDIY調査です。

漏電チェッカーの購入やコンセントの交換などのDIY修理は絶対にしないでください。

安全なDIYの境界線を越えた先は、私たち「登録電気工事業者」の出番です。

ブレーカー調査で「キッチンの回路が怪しい」と特定できた方、あるいは「調査方法がよくわからない」「漏電ブレーカーすらない」という方も、どうか一人で悩まないでください。

私たちは、あなたの不安を安全かつ迅速に解決するプロフェッショナルです。まずはお電話で、あなたの家の状況を詳しくお聞かせください。

よくある質問

漏電チェッカー(クランプメーター)は資格がなくても使えますか?

はい、漏電チェッカー(クランプメーター)や絶縁抵抗計といった測定器を使うこと自体に、公的な免許や資格は必要ありません。ただし、それらの機器を安全かつ正確に使うには、分電盤の内部を触るなど、感電リスクを伴う専門知識と技術が必要です。

また、測定の結果、修理が必要になった場合、その修理作業(コンセント交換や配線工事など)は「電気工事士」の資格がなければ法律違反となります。安全と法律の両面から、測定器の使用も含めてプロにお任せいただくのが賢明です。

漏電調査を頼んだら、必ず高額な修理工事もセットになりますか?

いいえ、そんなことはありません。信頼できる業者であれば、まずは漏電の原因調査(費用相場1~2万円程度)を優先します。

調査の結果、原因が「コンセントに挿していた古い家電の故障」であった場合、その家電の使用を中止すれば漏電は止まるため、修理工事は不要です。もし配線やブレーカーの修理が必要と判明した場合も、必ず先にお見積もりを提示し、お客様にご納得いただいてから作業に入ります。調査だけで終わるケースも多いので、ご安心ください。