漏電で電気代は上がる?漏電時の最も危険なサインと安全な確認方法を解説
先月と暮らし方は変わらないのに、電気代の請求額が急に跳ね上がっている!心当たりのない電気代の高さに、驚きと不安を感じていませんか?もしかして、家のどこかで漏電しているのではないか、と心配になるのは当然のことです。
漏電は火事や感電につながる恐れもあり、考えれば考えるほど焦ってしまいますよね。ですが、漏電すると電気代が上がるという話は、多くの場合、正しくありません。
この記事では、漏電と電気代の意外な関係、そして本当に注意すべき危険のサインについて分かりやすく解説します。ご自宅で安全にできる5分間のチェック方法から、万が一の際の修理費用の相場、信頼できる業者の選び方まで漏電の不安を解消するための具体的なステップを説明します。
この記事を読み終える頃には、何をすべきかが明確になっているはずです。
漏電で電気代は本当に高くなる?

漏電しているから、電気代が高いに違いないと考えてしまいがちですが、実はその考えは少し見直す必要があります。漏電と電気代の関係は、皆さんが思っているよりも複雑です。
ここでは、その仕組みと、もし電気代の上昇が漏電によるものだった場合に潜む本当の危険性について解説します。
通常はブレーカーが電気代の高騰を防いでくれる
ほとんどのご家庭の分電盤には、漏電ブレーカーという安全装置が設置されています。この装置の役割は、文字通り電気が本来の回路から漏れ出しているのを検知し、0.1秒という速さで電気を自動的に遮断することです。
つまり、通常であれば漏電が発生した瞬間にその回路の電気は止まります。電気が流れ続けることがないため、無駄な電力が消費されることもありません。
結果として電気代が急激に上がることは基本的にはありません。
漏電ブレーカーが落ちて停電するというのが、正常な反応なのです。これは、電気代の問題ではなく、感電や火災といった命に関わる事故を防ぐために家が発する重要なアラームと理解してください。
【重大】漏電ブレーカーの故障で電気代が上がることもまれにある
では、漏電によって電気代が上がるケースは全くないのでしょうか。いいえ、ごく稀にですが存在します。
それは、ご家庭の安全を守る漏電ブレーカー自体が、経年劣化や故障によって正常に作動しない場合です。
この状態では、漏電が起きても電気が遮断されず、まるで蛇口から水が漏れ続けるように、電気が絶えず家のどこかから漏れ出てしまいます。この漏れ出た電気は、メーターではしっかりとカウントされるため、電気代が異常に高くなるという現象が起こります。
これは単なる電気の無駄遣いではありません。感電や火災のリスクに対して、家が無防備になっていることを示す極めて危険な状態です。
分電盤にある漏電ブレーカーのテストボタンを押してみることでチェックできます。ボタンを押してカチッとブレーカーが落ちれば、ブレーカーの遮断機能は(今のところ)正常です。
ボタンを押してもブレーカーが落ちない場合、そのブレーカーは故障しています。
電気代が高くなる(漏電以外の)原因は?

もし漏電ブレーカーが正常に作動しているなら、電気代が高くなった原因は他にある可能性が高いです。
漏電を疑う前に、まずは以下のような、より一般的な原因がないか確認してみましょう。
家電製品の使用状況の変化
夏場のエアコンの長時間利用や、冬場の電気ストーブ、ホットカーペットなど消費電力の大きい家電の使用時間が増えていないか確認しましょう。
もし漏電が発生している場合は24時間継続して電力を消費しますが、家電の使用状況の変化は「特定の家電を使っている時間帯」だけ電気使用量が上がります。もしエアコンを稼働させた時だけ電力メーターが速く回るなら、原因はエアコンの使いすぎであり漏電ではありません。
エアコンのフィルターをこまめに掃除する、設定温度を夏は高め・冬は低めに設定するなど、無理のない範囲で運用を見直しましょう。
ライフスタイルの変化
テレワークの導入などで日中の在宅時間が増えると、それに伴いパソコン、照明、冷暖房などの使用量も自然と増加します。
漏電は在宅・不在に関わらず発生します。電気代の増加が「平日の日中」など、在宅時間と明確に連動している場合は漏電ではなくライフスタイルの変化が原因である可能性が濃厚です。
使っていない部屋の照明やPCをこまめに消す(またはスリープモードにする)、消費電力の低いLED照明に切り替える、などが有効です。
家電の新規導入・買い替え
新しく消費電力の大きい家電(ドラム式洗濯乾燥機、大型冷蔵庫、食洗機など)を使い始めたタイミングと、電気代が上がった時期は一致していませんか。
漏電は「どこから漏れているか分からない」のに対し、こちらは原因(新しい家電)が明確です。家電のカタログや本体に記載されている消費電力(W数)を確認し、使用時間と照らし合わせることで電気代の増加が妥当な範囲か判断できます。
電気代を抑えるために家電に搭載されている「エコモード」やタイマー機能を活用しましょう。また、電力プランが時間帯別契約の場合、電気代が安い夜間に食洗機や洗濯乾燥機を動かすのも一つの手です。
盗電の可能性
頻繁にあることではありませんが、屋外に誰でもアクセスできるコンセントがある場合、第三者に電気を無断使用されている(盗電)可能性もゼロではありません。
いったん、家のブレーカーをすべて「切」にしてください。この状態で電力メーターが回っていれば漏電です。もしメーターが止まった場合、今度は屋外のコンセントを物理的に確認し、見知らぬ延長コードなどが刺さっていないか調べましょう。
これは節約というより防犯対策が必要です。屋外コンセントには鍵付きの専用カバーを取り付ける、人感センサーライトを設置するなどして、無断使用を防ぎましょう。
まずは冷静に、ご自身の生活の変化を振り返ってみることが、原因究明の第一歩です。
電気代の急上昇より確実な漏電サインは?

電気代の変動は、漏電を発見する上で実はあまり当てになりません。それよりも、もっと確実で、注意すべき危険のサインがいくつか存在します。
これらのサインに気づくことが、あなたと家族の安全を守る上で重要です。
頻繁にブレーカーが落ちる
分電盤の漏電ブレーカーが頻繁に落ちる場合、故障ではなく家のどこかで起きている漏電を正確に検知して役目を果たしている証拠です。
ここで大切なのは、どのブレーカーが落ちるかを見極めることです。電気の使いすぎで落ちるのはアンペアブレーカーや安全ブレーカーであり、これは単に消費電力を抑えれば解決します。
しかし、漏電ブレーカーが落ちる場合は、電気の使いすぎとは別の漏電という危険なトラブルが発生していることを示しています。
金属部分に触れるとピリピリする
家電製品の金属部分や、水道の蛇口などに触れた際にピリッとした静電気のようなものを感じたことはありませんか?これは危険な漏電のサインかもしれません。
漏電によって、本来は電気が流れないはずの機器の表面に電気が帯びてしまっている状態です。このピリピリは、体が感電している証拠であり、状況によっては大きな事故につながる可能性があります。
特に水回りでこの現象が起きた場合は、感電のリスクが格段に高まるため、直ちに注意が必要です。
焦げ臭い匂いやコンセントの変色
コンセントの周りや家電製品から、プラスチックが焼けるような、あるいは独特の焦げ臭い匂いがした場合も漏電のサインです。
これは、コンセントとプラグの隙間に溜まったホコリが湿気を吸って電気の通り道となり、発熱・発火するトラッキング現象の前兆である可能性があります。
コンセントの差し込み口が黒く焦げている、変形しているといった見た目の変化も、内部で異常が起きていることを示す手がかりです。火災に直結する危険な兆候なので、絶対に見過ごしてはいけません。
雨の日になると停電するなど特定の条件下で発生
晴れの日は何ともないのに、雨が降ると決まってブレーカーが落ちるという経験はありませんか?これも典型的な漏電のサインの一つです。
この現象は屋外に設置された防水コンセントや照明器具、あるいは雨漏りによって建物の内部にある電気配線の絶縁が劣化している部分に雨水が侵入することが原因です。
水分が電気の通り道を作ってしまい、漏電を引き起こすのです。普段は問題なくても、湿気や水分によって危険な状態が引き起こされるため、原因の特定が難しいケースですが、放置は禁物です。
漏電の可能性が高い場合は?

漏電している可能性がある場合、次に何をすべきか、そして何を絶対にしてはいけないかを分かりやすく解説します。
DIY修理が絶対NGな理由
漏電箇所の特定はできても、絶対に自分で修理しようとしないでください。安全を守るための最も重要なポイントです。
資格のない人が電気設備に触れることは、命に関わる感電事故に直結します。プロは専用の絶縁工具や検電器を使い、安全を確保しながら作業を行いますが、一般家庭にある工具では不十分です。
また、日本では電気工事士法という法律により、屋内の配線工事などは有資格者でなければ行ってはならないと定められています。これは、不適切な工事による火災や感電事故を防ぐための安全ルールです。
信頼できる電気のプロに連絡する
正しい次のステップは、資格を持った電気工事の専門業者に連絡することです。
先ほどの調査で特定した、どの部屋のブレーカーを上げると漏電ブレーカーが落ちるかという情報は専門家にとって有益な情報です。電話でその情報を伝えるだけで、ある程度の原因を推測でき、現場での調査時間を大幅に短縮できます。
これは、結果的に費用負担を軽減することにも繋がるでしょう。不安な気持ちは分かりますが、ここからはプロに任せるのが最も安全で確実な解決策です。
漏電修理にかかる費用相場
以下は、一般的な漏電修理に関連する作業の費用相場です。実際の金額は建物の構造や状況によって変動するため、必ず事前に見積もりを取りましょう。
| 作業内容 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 漏電調査・原因特定 | 8,800円~22,000円 | 最初の診断作業。この費用だけで済む場合もあります。 |
| ブレーカー交換 | 16,500円~33,000円 | 漏電ブレーカーや安全ブレーカー本体の交換。 |
| コンセント・スイッチ交換(1箇所) | 4,400円~9,900円 | 器具の劣化や破損が原因の場合。 |
| 配線の一部修理・引き直し | 22,000円~ | 壁の中の配線など、作業の難易度で大きく変動します。 |
| 分電盤全体の交換 | 49,500円~88,000円 | 分電盤が古く、全体的な交換が必要な場合。 |
これらの費用は、あくまで目安です。
調査費無料を謳う業者もいますが、修理費用が高く設定されているケースもあるため、総額で比較検討することが重要です。
まとめ
この記事では、漏電で電気代は上がるのか?という疑問から始まり、漏電の本当の危険性、ご自身で安全にできる調査方法、そして信頼できる専門家の選び方までを解説してきました。
漏電しても正常なブレーカーがあれば、電気代は上がりません。もし電気代が上がっているようでしたら、それは安全装置が故障している極めて危険なサインです。
電気代よりも、ブレーカーが頻繁に落ちる、金属がピリピリするといった物理的なサインにご注意ください。
電気のトラブルは、目に見えないだけに大きな不安を感じさせます。しかし、正しい知識を持ち、適切な手順を踏めば決して怖いものではありません。
もし、ご自宅の電気設備に少しでも不安を感じたら決して放置せず、電気の専門家にご相談ください。あなたの家の安全を確保し、安心して毎日を過ごせるよう、全力でサポートいたします。
よくある質問
漏電している回路のブレーカーを落としました。残りの部屋の電気は使っても安全ですか?
ほとんどの場合は安全です。問題のある回路をブレーカーで切り離すことで、危険な箇所への電気の供給が止まり、応急処置としては正しい対応です。
ただし、これはあくまで一時的な措置です。漏電の根本原因が解決したわけではないため、できるだけ早く専門家による点検と修理を受けてください。
うちの漏電ブレーカーはかなり古いです。特に問題は起きていませんが、交換した方が良いのでしょうか?
交換を強く推奨します。漏電ブレーカーの推奨交換時期は、設置から約10年〜15年とされています。
現在問題なくとも、いざという時に作動しなければ意味がありません。家の火災保険や自動車のエアバッグと同じように、安全装置は予防的にメンテナンスすることが非常に重要です。
業者を呼ぶ前に、コンセントに挿すタイプの漏電遮断器を使えば大丈夫ですか?
一時的な安全対策にはなりますが、根本的な解決にはなりません。プラグ型の漏電遮断器は、その器具単体を漏電から保護するものですが、壁の中の配線やコンセント自体が漏電している場合、その原因を取り除くことはできません。
家全体の安全を確保するためには、大元の原因を突き止め、修理することが不可欠です。




