漏電が起こるのはなぜ？漏電のサインと原因特定から修理、安心できる業者の選び方まで徹底解説

突然ブレーカーが落ちた、金属に触れるとピリッときた、こういった漏電のサインに気づいたとき、どうすればいいのか不安を感じていらっしゃるでしょう。この緊急事態を安全に解決するためには、正しい知識と手順が必要です。

この記事は、漏電トラブルに直面している方に向けて、漏電時の危険なNG行動、ご自身でできる分電盤を使った漏電箇所の特定手順、気になる修理費用相場や火災保険の適用可否、さらには失敗しない信頼できる業者の選び方まで具体的な解決策を分かりやすく解説します。

この記事を最後まで読めば、漏電の不安は解消され、最適な解決への道筋が見えるでしょう。安心して次の行動に移るために、ぜひ読み進めてください。

漏電とは？なぜ今すぐ対処が必要？

漏電かもしれないと感じた時、多くの方が大きな不安を抱えるかと思います。初期のピリッとした小さなサインは、やがて命に関わる重大な事故へと発展する可能性があるため決して軽視できません。

漏電の基本的な定義から、なぜ今すぐ対処が必要なのか、そして人体にどれほどの危険があるのかを具体的に解説します。

漏電を緊急に対処すべき理由

漏電とは、電気が電線や機器の正しい通り道から外れて、建物の金属部分や地面などへ流れてしまう現象を言います。

本来、電気は絶縁体でしっかり守られていますが、絶縁機能が古くなったり、何らかの理由で壊れたりすると漏電が起こります。技術的に見ると、電気を遮断する抵抗力（絶縁抵抗）が、決められた値を下回った状態を指します。

漏電は、単に電気代がかさむだけでなく、火災、感電、そして電気機器の故障といった命や財産に関わる重大なトラブルを引き起こします。

少しでも異変を感じたら、すぐに動くことが大切です。漏電は最初は小さな不具合でも、あっという間に危険な状態、つまり感電死のリスクへとつながる危険性があるからです。初期のピリッという感覚が、いかに油断ならないサインであるかを理解しておきましょう。

漏電が引き起こす重大リスクと人体への影響

漏電が引き起こすリスクの中で最も重大なのは、やはり感電死の危険性です。

人間の体はわずかな電流にも敏感に反応しますが、流れる電流の量が大きくなるにつれて、人体への影響は加速度的に悪化します。

例えば、ピリピリすると感じる程度の電流（1mA）は比較的軽度ですが、これが20mAに増えると筋肉が硬直して呼吸困難になり、最悪の場合、命を落とす危険が出てきます。

さらに50mAを超えると短時間でも非常に危険な状態となり、100mAに達すると致命的な後遺症が残るか、死に至る可能性が高くなります。漏電の兆候に気づいたら危険性を認識し、ためらわずに専門家へ相談してください。

また、漏電は火災の原因にもなります。漏れた電流が金属やホコリなどに流れ、過剰な熱を発生させることで周囲の可燃物に着火する漏電火災の発生リスクが高まります。

特に、コンセントとプラグの間にホコリが溜まり、それが湿気を吸うことで電流が漏れ出すトラッキング現象は、配線や機器の劣化と並んで主な出火原因の一つです。

漏電が疑われるサインと原因は？

本当に漏電しているのか？と不安に思われている方も多いでしょう。ご自宅でできる簡単な自己診断の方法として、ブレーカー以外で漏電を疑うべき具体的なサインを説明します。

漏電の原因は一つではありません。主な漏電の原因を詳しく解説します。

あなたの家は大丈夫？漏電が起こるサイン

漏電が発生している場合、必ず何らかのサインが現れます。この初期サインに気づくことが、重大な事故を未然に防ぐための最初のステップです。

漏電を疑うべき代表的なサインは、以下の通りです。

• 漏電遮断器（漏電ブレーカー）が頻繁に落ちる
• 電気機器や水道の金属部分に触れるとピリッと感電する
• 急に電気代が大幅に高くなった
• 配線やコンセントの周りから焦げ臭いにおいがする
• 特定の部屋だけが停電する

漏電を引き起こす主な原因

漏電の原因は多様ですが、電気設備自体の問題と外部環境の影響の2つに大きく分けられます。どちらが原因かを見極めることが、適切な修理への鍵となります。

例えば水濡れが原因の場合、単に漏電箇所を直すだけでなく、雨漏りなどの建物の構造的な問題を同時に解決しないと再発を防げません。専門業者を選ぶ際は、電気工事だけでなく、関連する環境要因にも対応できる総合的な知識を持った業者を選ぶことが長期的な安全確保につながります。

漏電を引き起こす主な原因は以下の5つがあります。

電気機器や配線の経年劣化・破損

古い配線やコード、プラグは時間が経つにつれて被覆が硬くなったり、ひび割れたりして、絶縁性能が落ちていきます。特に築年数の古い建物や、コンセント周りでの劣化が原因となるケースが多く見られます。

水濡れや湿気

電気設備は水に弱く、雨漏りや水道管の水漏れ、高い湿度が原因で絶縁が損なわれ、漏電を引き起こします。水回りの近くや屋外にある設備は特に注意が必要です。

塩害

海沿いの地域など塩分濃度が高い環境では、塩分が電気設備に付着・浸透することで絶縁抵抗を低下させます。これは分電盤の金属部品の腐食も促進し、漏電リスクを高める要因です。

トラッキング現象

トラッキング現象とは、コンセントにプラグを差し込んだまま放置することで、プラグの刃の間にホコリが溜まり、それが湿気を吸って電流が漏れ出す現象です。火災に直結する危険な現象ですが、日常の簡単な清掃で防ぐことができます。

施工不良や外部からの損傷

電気設備を設置する際の接続ミスや、天井裏などでねずみなどの小動物によって配線がかじられたり損傷を受けたりすることによっても漏電は発生します。

漏電発生時の安全な対処法

もし、ご自宅で漏電が発生してしまったら、まずはパニックにならず、安全を確保することが最優先です。感電や火災のリスクを絶対上げないためのやってはいけないNG行動を解説します。

さらに、専門業者を呼ぶ前に、ご自身でどの回路で漏電が起きているかを特定できる、分電盤の安全な操作手順をステップ形式で解説します。特に賃貸物件にお住まいの方は、費用負担の原則や管理会社への連絡手順など、戸建てとは異なる対処法を詳しくご確認ください。

漏電発生時のやってはいけないこと

漏電の兆候や、分電盤の漏電遮断器が「切」になったことを確認したら、落ち着いて安全を最優先に対応しましょう。

漏電時に絶対にしてはいけない行為は以下があります。

• 濡れている場所にある電気機器や金属部分に素手で触れる
• 原因を特定せずに漏電ブレーカーを何度も上げ直す（二次被害や火災リスクを高めます）

漏電発生時の安全な漏電箇所特定ステップ

漏電が発生した際の安全で確実な初期対応は、分電盤を操作して漏電している回路を特定し、そこだけを隔離することです。

この手順を行うことで、漏電していない他の場所では電気を復旧させることができ、業者にも正確な情報を伝えることができます。

以下のステップで作業してください。

1. 安全の確保
   感電の危険がある水濡れが疑われる場所や金属部分からは距離を置きます。
2. 分電盤の確認と遮断
   分電盤（ブレーカーボックス）を確認し、漏電遮断器（レバーにテストボタンが付いている）が切（オフ）になっているかを確認します。
3. 全ブレーカーの操作
   漏電遮断器を入（オン）に戻す前に、全ての安全ブレーカー（子ブレーカー、回路ごとのスイッチ）を一旦オフにします。
4. 漏電遮断器の投入
   主幹である漏電遮断器を入にします。この時点で安全ブレーカーは全てオフなので漏電遮断器は落ちないはずです。
5. 回路ごとの確認と特定
   安全ブレーカーをひとつずつ順にオンにしていきます。
6. 漏電回路の隔離
   いずれかの安全ブレーカーを入れた瞬間に、再び漏電遮断器全体がオフになった場合、その直前に入れた安全ブレーカーの回路が漏電している箇所です。特定の回路だけをオフにしたまま、他の安全ブレーカーを再度、オンにすることで、漏電していない回路では電気が復旧します。

この手順で、キッチン、風呂場、エアコンなど、どの回路で漏電が起きているかを特定できます。これにより、専門業者が現場で調査する手間と時間を大幅に減らすことが可能です。

賃貸物件・集合住宅での特殊な対処法と費用負担

賃貸マンションやアパートにお住まいの方が漏電トラブルに直面した場合、戸建て住宅とは異なる手順を踏まなければなりません。

漏電箇所を特定した後に最も大切なのは、すぐに建物の管理会社かオーナーに連絡を入れることです。自己判断で修理業者に連絡してしまうと、後で費用負担をめぐるトラブルになる可能性があるため、絶対に避けましょう。

賃貸物件での漏電修理費用は、原因によって負担者が明確に決まっています。

以下の場合は基本的にオーナーが工事費用を負担します。

• 原因が経年劣化や自然災害によるもの
• 原因が特定できず費用負担者を判断できない場合

一方で、入居者の不注意や過失（例：水濡れによる機器の損傷、不適切な使用）によって漏電が発生した場合は、入居者が費用を負担することになります。

賃貸物件では、水漏れなどの被害が他の部屋にまで及んだ場合、入居者が他の入居者の所有物へ損害を与えてしまうリスクがあります。この損害は通常の火災保険では補償されないことが多いので、入居時に加入が推奨される個人賠償責任保険の適用可能性を確認することが重要です。

オーナー側も、物件本体の損害に対して火災保険が適用できるか、特に電気的・機械的事故補償や破損・汚損等といった特約を確認する必要があります。

漏電修理の費用相場と内訳

専門業者に漏電修理を依頼する際、いくらかかるのだろうという費用への不安は大きいものです。

その不安を解消するため、漏電調査から修理・改修工事までの具体的な流れと、作業項目ごとの費用相場を解説します。

漏電調査・修理の作業ステップと費用相場

漏電修理で最も不安に思われるのは、費用がいくらになるか分からないという点でしょう。

この不安を解消し、適正な業者を選ぶためにも、費用が調査費用と修理・改修工事費用の2段階で構成されていることを理解しておく必要があります。

漏電調査費用(原因特定にかかる費用)

これは、漏電の原因を突き止めるための費用です。専門家は、分電盤での電圧測定や、専用の機器を使った各回路の絶縁抵抗測定、コンセントなどの目視点検を行います。

この調査費用の透明性が、後の不要な工事を防ぐ土台となります。相場は一般的に3,000円から19,000円程度です。

漏電修理・改修工事費用

特定された原因に基づいて、設備を直したり交換したりする費用です。原因や必要な作業によって金額は大きく変わります。

以下の表は、主要な修理項目ごとの費用相場です。

作業項目	作業内容の概要	費用相場(概算)
漏電の原因調査（基本調査費）	分電盤での電圧・絶縁測定、回路ごとの異常特定、目視点検	¥3,000～¥19,000
ブレーカーの交換・修理	漏電遮断器または安全ブレーカーの交換	¥20,000～¥24,000
分電盤の交換・修理	分電盤全体（盤体を含む）の交換/改修	¥30,000～¥45,000
コンセント・スイッチの交換	末端での漏電（トラッキング含む）対応	¥3,000～¥9,000
配線の部分的な引き直し・修理	漏電箇所に応じた配線修正、隠蔽部の対応	¥20,000～

特に配線の引き直しが必要になると、作業の難しさや規模によって費用は大きく変動する可能性があります。

高額になりそうな修理の場合は、内訳が細かく記載された見積もりを必ず取得し、予算オーバーを防ぐことが重要です。

費用を賢く抑えるためのポイント：火災保険の適用

実は、漏電修理にかかる費用は、ご自宅で加入している火災保険が適用できる可能性があります。経済的な負担を軽くするためにも、業者に依頼する前にぜひ確認していただきたいポイントです。

火災保険は本来、火災による損害を補償するものですが、電気的・機械的事故補償や破損・汚損等の特約をつけている場合、漏電で壊れた電気設備の修理費用が保険でカバーされる場合があります。

ただし注意点として、この補償は急に、偶然に起きた事故による損害に限られるのが一般的です。時間をかけて進んだ経年劣化が直接的な原因である場合、適用されないケースが多いことを覚えておきましょう。

保険を適用する際は、契約内容にある自己負担額（免責金額）が、修理費用を上回っていないかも確認が必要です。

安心できる電気工事会社は、保険の適用に関するアドバイスや、保険会社に提出する修理報告書の作成サポートも行えます。こうしたきめ細やかなサポートも、業者選びの重要な基準となります。

失敗しない信頼できる電気工事会社の選び方

漏電修理は、お客様の安全と財産を守るための専門性の高い重要な作業です。そのため、業者選びは細心の注意を払って行う必要があります。

ここでは、安心して依頼できる優良な電気工事会社を見極める方法を解説します。必要な国家資格から、見積もりや保証といったサービス品質まで徹底的に比較します。

信頼できる電気工事会社の選び方とチェックリスト

信頼できる電気工事会社を選ぶための基本中の基本は、公的な許可や登録があるかどうかです。

漏電修理を含む電気工事は法律で定められており、業者は登録電気工事業者でなければなりません。この登録があるということは、その会社が事業を継続的に行っており、法律をしっかり守っている信頼の証です。

専門性と実績を証明する必須資格

電気工事の専門性、つまりどれだけ確かな技術を持っているかは、技術者が保有する国家資格によって証明されます。

一般住宅の工事には、第二種電気工事士の資格が必要です。さらに、より幅広い工事に対応できる第一種電気工事士や、資格を活かして対応範囲を広げる認定電気工事従事者の技術者がいるかを確認することで、その業者の技術レベルの高さが測れます。

また、第三種電気主任技術者は、電気設備の保安管理に関する高度な技術を持っている証明となります。また、高電圧の設備を扱う特種電気工事資格者など上位資格の保有は、技術的な指導力や複雑な設備に対応できる能力を示す指標になります。

資格だけでなく、実際に漏電調査や修理工事の経験がどれだけ豊富かという実績も重要です。業者のホームページや第三者のレビューサイトで、過去の評判や具体的な事例をチェックすることで現場での対応力やノウハウの蓄積度を評価できます。

見積もりの透明性、保証、アフターサービスの徹底比較

技術力の高さと同じくらい、サービス面での信頼性も重要です。

実際に依頼する前に、以下の点をしっかり確認しましょう。

• 透明性の高い見積もり
• 即日対応能力の確認
• 工事後の保証体制

依頼する専門業者の信頼性を評価できるよう、以下のチェックリストをぜひご活用ください。

チェック項目	確認すべきポイント
必須資格の保有	電気工事士（第一種/第二種）の有無。安全管理能力
公的許可・登録	登録電気工事業者の登録があるか（法的な事業継続性）
見積もりの透明性	内訳が明確か。追加費用発生のリスク説明があるか
実績の豊富さ	漏電調査・修理の具体的な事例や経験値
保証・アフターサービス	工事後の期間保証、再発時の対応について
即日対応能力	緊急時対応体制（24時間受付、最短○分到着など）

漏電を未然に防ぐための予防策と長期的な安全管理

漏電は一度直せば終わりではありません。時間の経過による劣化や、周囲の環境によって、再発のリスクは常に潜んでいます。

修理後の安全を長く守るための予防策と、長期的な管理計画について解説します。日常の清掃でできる簡単な対策から、専門家が推奨する分電盤のアップグレードまで電気設備の安全性を高めるための具体的な方法を説明します。

定期点検で漏電を未然に防ぐ

漏電の最も効果的な予防策は、定期的な電気設備の点検に尽きます。

漏電のリスクは、配線や機器の絶縁抵抗が少しずつ落ちていくことで高まります。専門業者による絶縁抵抗測定などの定期点検を受けていれば、問題が大きくなる前に異常を発見し、早い段階で対処できます。

結果として、緊急修理が必要になるよりもずっと低いコストでご自宅の安全を維持できるのです。

漏電を未然に防ぐための予防策

日常でできる予防措置として、コンセント周りの清掃があります。トラッキング現象の主な原因はホコリと湿気です。冷蔵庫の裏など、普段見えない場所のコンセント周りも定期的に掃除することを習慣にしましょう。

浴室や屋外など水がかかりやすい場所では、防水仕様のコンセントカバーを使うなど、水濡れ対策を徹底してください。

長く使っている電化製品や、コードが硬くなったり破損したりしているプラグは、絶縁性能が低下している可能性が高いです。漏電の原因となるため、早めに交換を検討することをおすすめします。

分電盤のアップグレード

築年数が経った住宅の場合、分電盤自体が古くなっていたり、現在の安全基準に合っていなかったりする可能性があります。

特に、漏電遮断器がついていない、あるいは動作が不安定になっている場合は、分電盤全体を最新のものに交換・修理することをおすすめします。

高性能な漏電遮断器を備えた新しい分電盤を導入すれば、万が一漏電が起きても、瞬時に電気を遮断できるため、感電や火災の被害を最小限に食い止められます。これは、ご家族の安全を守るための投資と言えるでしょう。

まとめ

漏電は、すぐにどうにかなるだろうと軽視されがちですが、感電死や火災につながる、人命に関わる深刻な問題です。小さなサインを見逃さず、迅速かつ正確に対応することが、ご自身とご家族の安全を守るために不可欠です。

漏電が発生したら、まずは安全な手順で漏電箇所を特定しましょう。その上で費用の透明性をしっかり確認し、専門性・信頼性が保証された業者を選ぶことが安心できる解決策となります。

特に、電気工事士の資格保有や登録電気工事業者としての公的な許可、そして明瞭な見積もりと保証体制を持つ業者を選ぶことがが信頼できる業者を選ぶ鍵となります。

漏電を放置することは、大きなリスクを招くだけでなく、結果的に高額な修理費用や賠償金につながる可能性もあります。どうしたらいいか分からないという不安や疑問は、資格と実績を持つ専門家にお任せください。適切な調査と修理を通じて、ご自宅の電気的安全性をしっかりと確保しましょう。

よくある質問

漏電しているかどうかの判断は、素人でもできますか？

漏電修理の費用相場はどのくらいかかりますか？

信頼できる電気工事会社を選ぶための重要なポイントは何ですか？