業務用エアコン故障?原因から修理・買い替え費用まで完全ガイド
店舗やオフィスの快適な環境を支える業務用エアコンですが、ある日突然故障し、「冷えない・暖まらない」「異音がする」「電源が入らない」といった事態に見舞われて、頭を抱える事業者様も多いのではないでしょうか。営業や業務への支障、高額な修理費用、顧客への影響など、不安は尽きません。
この記事では、業務用エアコンの故障を専門とする設備コンサルタントとして、あなたが「今すぐ何をすべきか」を明確にするための情報を網羅的に解説します。故障の初期診断から原因の特定、修理か買い替えかの判断基準、法規制に沿った適切な対応までを、専門知識がなくても理解できるよう分かりやすく解説します。この記事を読めば、事業への影響を最小限に抑えるための最適な一手が見つかるはずです。
- 故障かも?まず確認すべき症状と自分でできる初期チェックリスト
- 【症状1】電源が入らない・すぐ切れる
- 【症状2】効きが悪い(冷えない・暖まらない)
- 【症状3】異音がする(ブーン、ポコポコ、カタカタ)
- 【症状4】異臭がする(カビ臭い・焦げ臭い)
- 【症状5】室内機から水漏れが発生する
- 【症状6】ブレーカーが頻繁に落ちる(漏電)
- リモコンのエラーコードは何を示す?主要メーカー別・確認方法
- なぜ壊れた?プロが解説する業務用エアコン故障の三大原因
- 原因1:心臓部の故障「コンプレッサー」の異常
- 原因2:屋外で酷使される「室外機」の不具合
- 原因3:能力低下を招く「冷媒漏れ」
- 修理か買い替えか?後悔しないための5つの判断基準
- 基準1:使用年数【10年】が一つの目安
- 基準2:修理費用が高額になる場合(新品購入費の50%)
- 基準3:電気代の差額|最新機種は省エネ性能が格段に向上
- 基準4:【2027年問題】省エネ基準強化を見据えた早期更新
- 基準5:補助金・助成金の活用
- 【費用相場】修理・買い替え・処分に一体いくらかかる?
- ケース別・業務用エアコンの修理費用相場
- 業務用エアコンの買い替え(本体+工事費)費用相場
- 業務用エアコンの処分・廃棄費用相場
- 知らないと罰則も?業務用エアコン処分に関する法律と手続き
- 【フロン排出抑制法】フロン回収の義務と罰則
- 【産業廃棄物処理法】マニフェスト管理の必要性
- 故障を未然に防ぐ!コスト削減と長寿命化を実現するメンテナンス術
- プロによる定期メンテナンスの重要性と効果
- 危険!市販のクリーニングスプレーを使ってはいけない理由
- 突然の故障に備える事業継続計画(BCP)の視点
- リース契約と動産総合保険の活用
- まとめ:業務用エアコンの故障は計画的な管理で事業リスクを回避
故障かも?まず確認すべき症状と自分でできる初期チェックリスト
専門業者に連絡する前に、まずはご自身で確認できることがいくつかあります。簡単なチェックで復旧するケースも少なくありません。無駄な出費を避けるためにも、以下の症状に当てはまるか確認し、初期チェックを行ってみましょう。
【症状1】電源が入らない・すぐ切れる
最初に確認すべきは、最も基本的な電源周りです。
リモコンの液晶が表示されているか、電池が切れていないかを確認してください。次に、分電盤のブレーカーが「切」になっていないかチェックします。業務用エアコンは、一般のコンセントとは別に専用のブレーカーが設置されていることが多いので注意が必要です。それでも電源が入らない場合、制御基板や電源ユニットの故障が考えられるため、専門家による診断が必要です。
【症状2】効きが悪い(冷えない・暖まらない)
業務用エアコンの故障で最も多い症状が「効きの悪さ」です。まずは、リモコンの設定(冷房・暖房モード、設定温度)が適切かを再確認しましょう。
次に、室内機のフィルターを確認してください。フィルターにホコリがびっしり詰まっていると、空気の循環が妨げられ、性能が著しく低下します。また、室外機の周りに荷物や落ち葉などで吸込口・吹出口が塞がれていないかも重要です。
これらを確認しても改善しない場合、内部の熱交換器の汚れや、冷媒ガスが漏れている可能性があります。特に冷媒ガス漏れを自己判断で補充するのは「フロン排出抑制法」に違反するリスクがあり大変危険です。必ず専門業者に点検を依頼してください。
【症状3】異音がする(ブーン、ポコポコ、カタカタ)
エアコンから普段しない音が聞こえたら、それは故障のサインかもしれません。
- 「ブーン」「ジー」: ファンモーターのベアリング摩耗やコンデンサーの劣化が考えられます。放置するとモーターが焼き付くなど、重大な業務用エアコンの故障に繋がる可能性があります。
- 「ポコポコ」: ドレンホース(排水管)から外気が逆流している音で、故障ではないことが多いです。ただし、水の流れが悪い場合は詰まりも考えられます。
- 「カタカタ」「ガラガラ」: 内部のファンやフィルターが正しくセットされていない、またはファンモーターの軸がずれている可能性があります。
異常音が続く場合は、運転を停止して専門業者に相談しましょう。
【症状4】異臭がする(カビ臭い・焦げ臭い)
エアコンから漂う臭いにも注意が必要です。
酸っぱいような、カビ臭い臭いがする場合は、内部に繁殖したカビやホコリが原因です。これは健康にも影響を及ぼすため、専門業者による内部洗浄(分解クリーニング)をおすすめします。
一方で、焦げ臭い臭いがする場合は非常に危険なサインです。内部の電気部品がショートしたり、モーターが過熱したりしている可能性があり、火災に繋がる恐れがあります。直ちに運転を停止し、ブレーカーを落としてから専門業者に連絡してください。
【症状5】室内機から水漏れが発生する
室内機からの水漏れは、天井や壁の汚損、什器への被害など二次被害を引き起こす厄介なトラブルです。
主な原因は、結露水を排出するドレンホースの詰まりや、排水を強制的に行うドレンポンプの故障です。ホコリやゴミが溜まり、水の流れをせき止めてしまいます。水漏れを発見したら、まずはエアコンの運転を止め、専門業者による点検を依頼しましょう。放置すると電気系統の故障やカビの大量発生に繋がります。
【症状6】ブレーカーが頻繁に落ちる(漏電)
エアコンを運転するとブレーカーが落ちる場合、漏電の可能性が考えられます。
配線や電源コードの経年劣化、コンプレッサーやモーターの故障、室外機への水の侵入などが原因で発生します。漏電は感電や火災のリスクを伴う非常に危険な状態です。絶対に自己判断で対処しようとせず、直ちに専門業者に連絡し、絶縁抵抗測定などの詳細な点検を依頼してください。
リモコンのエラーコードは何を示す?主要メーカー別・確認方法
業務用エアコンは、異常を検知するとリモコンに「エラーコード」を表示する自己診断機能を備えています。このコードは、故障の原因を特定するための重要な手がかりとなります。業者に連絡する際にこのエラーコードを伝えることで、訪問前の原因予測や部品準備が可能になり、修理がスムーズに進むことがあります。
エラーコードの詳細は、取扱説明書や各メーカーの公式サイトで確認できます。事前に確認し、メモしておきましょう。
なぜ壊れた?プロが解説する業務用エアコン故障の三大原因
日頃から気をつけていても、なぜ業務用エアコンの故障は起きてしまうのでしょうか。その原因は主に、過酷な条件下で稼働する3つの主要部品に集中しています。
原因1:心臓部の故障「コンプレッサー」の異常
コンプレッサーは、冷媒ガスを圧縮して循環させる、エアコンの「心臓部」ともいえる最重要部品です。長時間の連続運転や、換気が不十分な厨房などでの過負荷運転は、コンプレッサーの寿命を著しく縮めます。また、冷媒ガスが漏れて不足した状態で運転を続けると、コンプレッサーが冷却されずに過熱し、「焼き付き」という致命的な故障を引き起こします。修理費用が非常に高額になる代表的な故障箇所です。
原因2:屋外で酷使される「室外機」の不具合
屋外に設置される室外機は、常に雨風や紫外線に晒され、過酷な環境で稼働しています。ファンモーターのベアリング摩耗による異音や、熱交換器のフィンにゴミやホコリが詰まることによる冷却効率の低下は頻繁に起こるトラブルです。また、紫外線による配線の被覆劣化や、小動物が配線をかじることによる断線・漏電も、業務用エアコンの故障原因として少なくありません。
原因3:能力低下を招く「冷媒漏れ」
冷媒ガスは、室内の熱を室外に運ぶ「血液」のような役割を担っています。この冷媒が配管の劣化や接続部の緩み、施工不良などによって漏れ出すと、エアコンの能力は著しく低下します。冷媒漏れは、効きが悪くなるだけでなく、ガスが不足した状態で稼働を続けることでコンプレッサーに過大な負荷をかけ、最終的に重大な故障を引き起こす原因となります。さらに、「フロン排出抑制法」により、事業者には冷媒の漏洩点検が義務付けられています。
修理か買い替えか?後悔しないための5つの判断基準
業務用エアコンの故障に直面したとき、最も悩むのが「修理して使い続けるか、思い切って買い替えるか」という選択です。目先の費用だけでなく、長期的な視点で判断することが後悔しないための鍵となります。ここでは、その判断基準を5つご紹介します。
基準1:使用年数【10年】が一つの目安
業務用エアコンの設計上の標準使用期間は、一般的に10年〜15年とされています。使用開始から10年以上経過している場合、一つの部品を修理しても、すぐに別の部品が経年劣化で故障する「いたちごっこ」に陥る可能性が高くなります。
また、メーカーは修理用部品を製造打ち切り後9年間保有することが一般的です。10年を超えると部品の入手が困難になり、修理自体が不可能になるケースも増えてきます。
基準2:修理費用が高額になる場合(新品購入費の50%)
一つの明確な判断基準として、「修理費用が同等性能の新品を購入・設置する費用の50%を超えるか」という考え方があります。
例えば、コンプレッサーや熱交換器といった主要部品の交換には20万円以上の高額な費用がかかることがあります。もし新品への買い替え費用が70万円だとすれば、修理費用が35万円を超えるようなら、最新機種への買い替えを検討する方が経済合理性が高いと言えるでしょう。
基準3:電気代の差額|最新機種は省エネ性能が格段に向上
古いエアコンを使い続けることは、見えないコスト、つまり「電気代」を払い続けていることになります。近年の業務用エアコンの省エネ性能は飛躍的に向上しており、15年前の機種と比較すると、最新機種では年間電気代が約50%以上も削減できるケースも珍しくありません。高額な修理費用を払って古いエアコンを延命させるよりも、買い替えて毎月のランニングコストを削減する方が、長期的に見て総支出を抑えられる可能性があります。
基準4:【2027年問題】省エネ基準強化を見据えた早期更新
あまり知られていませんが、2027年度から業務用エアコンの省エネ基準が大幅に引き上げられる、いわゆる「2027年問題」が迫っています。この規制強化に対応するため、メーカーはより高性能な製品開発を求められ、将来的には製品価格の上昇や、現行モデルの選択肢が減少する可能性があります。故障を機に、規制強化を見据えて計画的に最新の省エネモデルへ更新することは、将来のリスクを回避する賢明な選択といえます。
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基準5:補助金・助成金の活用
国や地方自治体は、環境負荷の低減を目的として、省エネ性能の高い設備への更新を支援する補助金や助成金制度を設けています。これらの制度を活用すれば、初期導入コストを大幅に抑えて最新の業務用エアコンへ買い替えることが可能です。故障したタイミングは、こうした公的支援を活用できる絶好の機会でもあります。利用できる制度がないか、専門業者に相談してみることをお勧めします。
【費用相場】修理・買い替え・処分に一体いくらかかる?
いざ修理や買い替えを進めるにあたり、最も気になるのが費用です。ここでは、それぞれのケースでかかる費用の相場をご紹介します。あくまで目安であり、機種や設置状況によって変動するため、必ず事前に専門業者から見積もりを取りましょう。
ケース別・業務用エアコンの修理費用相場
修理費用は、故障箇所と交換部品によって大きく変動します。
- 冷媒ガス漏れ修理・補充: 30,000円~80,000円
- ドレンポンプ交換: 20,000円~50,000円
- ファンモーター交換: 40,000円~100,000円
- 制御基板交換: 50,000円~150,000円
- コンプレッサー交換: 200,000円~400,000円
業務用エアコンの買い替え(本体+工事費)費用相場
買い替えの場合は、機器本体の価格と設置工事費が必要です。馬力(能力)ごとの一般的な相場は以下の通りです。
- 3馬力(事務所40~60㎡): 400,000円~700,000円
- 5馬力(事務所70~100㎡): 600,000円~1,000,000円
- 10馬力(店舗140~200㎡): 1,200,000円~2,000,000円
※高所作業や電源工事、配管延長などが必要な場合は追加費用が発生します。
業務用エアコンの処分・廃棄費用相場
古いエアコンを処分する際にも費用がかかります。法律に基づいた適正な処理が必要なためです。
処分費用合計:40,000円~100,000円程度
(内訳)
- フロンガス回収・破壊処理費用: 10,000円~30,000円
- 本体の取り外し・運搬・産業廃棄物処理費用: 30,000円~70,000円
知らないと罰則も?業務用エアコン処分に関する法律と手続き
業務用エアコンの処分は、家庭用エアコンのように家電リサイクル法で手軽に捨てることはできません。「フロン排出抑制法」と「産業廃棄物処理法」という2つの法律に基づき、厳格な手続きが定められています。知らなかったでは済まされない罰則規定もあるため、必ず理解しておきましょう。
【フロン排出抑制法】フロン回収の義務と罰則
業務用エアコンには、冷媒としてフロンガスが使われています。このフロンを大気中に放出することは法律で固く禁じられており、機器を廃棄する際は、都道府県に登録された「第一種フロン類充塡回収業者」に依頼して、フロンを回収してもらう義務が機器の所有者(管理者)に課せられています。
この義務を怠り、フロンをみだりに放出してしまうと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
【産業廃棄物処理法】マニフェスト管理の必要性
フロンを回収した後のエアコン本体は、「産業廃棄物」として扱われます。事業活動から生じた廃棄物であるため、許可を持つ産業廃棄物処理業者に適切な処理を委託しなければなりません。
その際、排出事業者(エアコンの所有者)は、「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」という伝票を用いて、廃棄物が最終処分されるまでの一連の流れを管理する義務があります。不法投棄などの不正を防ぐための重要な仕組みであり、マニフェストの適切な交付・管理は事業者の責務です。
故障を未然に防ぐ!コスト削減と長寿命化を実現するメンテナンス術
突然の業務用エアコンの故障による事業停止リスクを避け、機器を長く使い続けるためには、故障してから対応する「事後保全」ではなく、故障を未然に防ぐ「予防保全」という考え方が非常に重要です。定期的なメンテナンスは、単なるコストではなく、将来の大きな損失を防ぎ、日々のランニングコストを削減する「投資」と捉えるべきです。
プロによる定期メンテナンスの重要性と効果
フィルター清掃など、ご自身でできるメンテナンスには限界があります。専門家による定期メンテナンスでは、内部の熱交換器やドレンパンの洗浄、ファンモーターの動作確認、電気系統の電圧チェック、冷媒ガスの圧力測定など、専門的な機器と知識がなければ実施できない点検を行います。
ある調査では、メンテナンスを全く行わなかったエアコンは、定期的に清掃を行った場合に比べ、約4年後には消費電力が40%も増加したというデータもあります。定期メンテナンスは、省エネ性能を維持して電気代を削減し、異常を早期に発見して重大な故障を防ぎます。結果として、機器の寿命を延ばす効果的な手段です。
危険!市販のクリーニングスプレーを使ってはいけない理由
手軽さから市販のエアコンクリーニングスプレーの使用を考える方もいるかもしれませんが、業務用エアコンへの使用は絶対にお勧めできません。
業務用エアコンの内部構造は家庭用よりも複雑で、スプレーの洗浄剤や水分がデリケートな制御基板や電気配線にかかってしまうと、ショートや故障の原因となります。最悪の場合、トラッキング現象を引き起こし、発煙・発火に繋がる重大な事故になる恐れもあります。内部の洗浄はリスクが非常に高いため、必ず専門知識を持ったプロの業者に依頼してください。
突然の故障に備える事業継続計画(BCP)の視点
どれだけメンテナンスを行っていても、予測不能な偶発的な故障のリスクをゼロにすることはできません。特に真夏や真冬の繁忙期にエアコンが停止した場合の事業への影響は計り知れません。そこで重要になるのが、エアコンの故障を事業リスクの一つとして捉え、事前に対策を講じておく「事業継続計画(BCP)」の視点です。
リース契約と動産総合保険の活用
業務用エアコンの導入方法として、購入だけでなく「リース契約」という選択肢もあります。リース契約の大きなメリットは、多くの場合、落雷、火災、水害、風災といった偶発的な事故による損害を補償する「動産総合保険」が付帯している点です。これにより、予測不能な故障が発生した際に、修理費用や交換費用が保険でカバーされ、突発的な出費を抑えることができます。初期投資を平準化しつつ、故障リスクにも備えられる有効な手段です。
まとめ:業務用エアコンの故障は計画的な管理で事業リスクを回避
業務用エアコンの故障は、単なる設備の不具合ではなく、売上の損失、顧客満足度の低下、従業員の労働環境悪化に直結する重要な経営課題です。
今回解説したように、まずは落ち着いて初期チェックを行い、症状を正しく把握することから始めましょう。そして、「使用年数」「修理費用」「ランニングコスト」「将来の法規制」「補助金」という5つの基準から、修理か買い替えかを総合的に判断することが、長期的視点で最善の選択に繋がります。
そして何よりも重要なのは、日頃からの計画的なメンテナンスです。故障を未然に防ぐ「予防保全」こそが、コストを最適化し、事業の安定稼働を支える最も確実な方法です。この記事が、あなたの会社の事業継続の一助となれば幸いです。




