突然、家の電気がすべて消えてしまった。
ブレーカーを上げてもすぐに「ガチャン」と落ちてしまう…。
特に夜間や雨の日にこんなことが起こると、本当に不安になりますよね。
もしかして「漏電」かもしれない、火事になったらどうしよう、と心配になるのは当然のことです。

ご安心ください。
この記事は、そんなあなたの不安を解消するために、電気工事のプロが「安全を最優先に考えて」執筆しました。
無理にブレーカーを上げるのは絶対にやめて、まずはこの記事を落ち着いてお読みください。

この記事でわかること

  • 誰でもできる、安全な漏電箇所の特定と復旧手順
  • 漏電でブレーカーが上がらない5つの主な原因
  • 【賃貸・持ち家別】どこに連絡すべきかと修理費用の相場
  • 二度と漏電を繰り返さないための具体的な予防策

落ち着いて!漏電ブレーカーが上がらない時にまずやるべきこと

漏電の疑いがあり不安な時は、まず身の安全を確保し、分電盤を正しく見分けることが重要です。ご自身でできること、そして絶対にプロに任せるべきことの違いを、しっかり理解しましょう。

最初に、絶対に守っていただきたいことがあります。
それは「濡れた手で絶対に分電盤や電気製品に触れない」ことです。
足元が濡れていたり、水気のある場所にいる場合は、まずその場から離れてください。
もし、焦げ臭いにおいや煙、ブレーカー本体の異常な発熱がある場合は、ご自身で対処しようとせず、すぐにその場を離れて消防署(119番)や電力会社に連絡してください。

安全が確認できたら、ご自宅の分電盤(ブレーカーボックス)を確認します。
多くは玄関や洗面所、廊下の壁の高い位置に、白いプラスチック製のカバーが付いた箱として設置されています。

カバーを開けると、いくつかのスイッチ(レバー)が並んでいます。
これがブレーカーで、主に3つの種類に分かれています。

ブレーカーの種類 見た目の特徴 役割
アンペアブレーカー 一番左にある一番大きなスイッチ。電力会社名や「30A」などの契約アンペア数が書かれていることが多い。 家全体の電気の使いすぎ(契約アンペア超過)を防ぐ。
漏電ブレーカー (ELB) 中央にある中くらいのスイッチ。「漏電遮断器」「ELB」と書かれ、赤や黄色の「テストボタン」が付いているのが最大の特徴。 どこかで電気が漏れている(漏電)のを検知して電気を止める。
安全ブレーカー 右側に複数並んでいる小さなスイッチ。「キッチン」「リビング」「エアコン」など場所や用途のラベルが貼られている。 各部屋・回路ごとの電気の使いすぎやショートを防ぐ。

今回、ブレーカーが上がらなかったり、上げてもすぐに落ちてしまう場合は、中央にある「漏電ブレーカー」であることが多いです。

ミニQ&A:ブレーカーのON/OFFどっち?
ブレーカーのレバーは、基本的に上が「ON(入)」、下が「OFF(切)」です。
ただし、メーカーや機種によって「入/切」などの文字表記が異なる場合がありますので、必ず表示に従ってください。

危険!絶対にやってはいけないこと【無理に上げるのはNG】

漏電が疑われる状況で、無理にブレーカーを上げ続ける行為は、火災や感電事故に直結する非常に危険な行為です。
以下のサインが見られる場合は、絶対にブレーカーを再投入(ONに)せず、すぐに専門家へ連絡してください。

【今すぐ中止すべき危険サイン】チェックリスト

  • 分電盤やコンセント周りから焦げ臭いにおいがする
  • ブレーカーのレバーや周辺が異常に熱を持っている
  • 煙が出ている、または「バチッ」という火花が見えた
  • 分電盤やその周辺が雨漏りなどで水に濡れている
  • 家電製品に触れるとピリピリと電気を感じる(感電)

これらのサインは、すでに重大なトラブルが発生している証拠です。
また、以下のような行為も絶対におやめください。

  • 足元が濡れた床や、お風呂場、雨天の屋外で分電盤を操作する
  • ドライバーなどの金属製工具を使ってブレーカーをこじ開けようとする
  • 破損したコードをビニールテープなどで補修して使い続ける
  • 【最重要】電気工事士の資格なく、分電盤の内部や壁の中の配線を絶対に触らない

安全の確保が最優先です。
少しでも危険を感じた場合は、すぐに作業を中断し、安全な場所に避難してください。

【写真付き】安全に漏電箇所を特定する4ステップ復旧手順

安全が確認でき、危険なサインもない場合、ご自身で漏電している回路を特定し、応急的に電気を復旧させることができます。
以下の手順を、必ず乾いた手で、一つずつ落ち着いて行ってください。

【ステップ1】すべての安全ブレーカーを「OFF」にする
まず、分電盤の右側にある小さな「安全ブレーカー(子ブレーカー)」のレバーを、すべて下に下げて「OFF(切)」にします。
「キッチン」「リビング」など、すべての回路の電気を一度止めます。

【ステップ2】漏電ブレーカーを「ON」にする
次に、中央にある「漏電ブレーカー」のレバーを、一番上までしっかりと上げて「ON(入)」にします。
この時点では、まだどの部屋にも電気は流れていません。
もし、この段階で漏電ブレーカーが上がらない、またはすぐに落ちてしまう場合は、漏電ブレーカー自体の故障や、家全体の幹線(メインの配線)に問題がある可能性があります。
この場合は作業を中止し、専門業者に連絡してください。

【ステップ3】安全ブレーカーを一つずつ「ON」にしていく
漏電ブレーカーが無事に「ON」になったら、先ほどOFFにした安全ブレーカーを、一つずつ、ゆっくりと「ON(入)」にしていきます。
一つ入れたら数秒待ち、次のものを入れる、というように丁寧に進めてください。

【ステップ4】漏電ブレーカーが落ちた回路を特定する
ある安全ブレーカーを「ON」にした瞬間に、「ガチャン!」と漏電ブレーカーが落ちてしまったら、その安全ブレーカーが担当している回路で漏電が発生していると特定できます。
例えば、「洗面所」の安全ブレーカーを上げた瞬間に落ちたなら、洗面所の電気回路(照明、コンセント、接続されている家電など)が原因です。

【結果の見方と応急復旧】
原因の回路が特定できたら、その原因となった安全ブレーカーは「OFF」のままにしておきます。
そして、もう一度ステップ2とステップ3の手順を繰り返し、原因回路以外の安全ブレーカーのみを「ON」にしてください。
これにより、漏電している回路以外は電気が使える状態に復旧します。
「一箇所だけ使えない」状態になりますが、これが安全な応急処置です。

漏電回路が特定できた後の応急処置

原因の回路を特定し、それ以外の電気を復旧できたら、次に応急処置を行います。

  1. 原因回路の家電はすべて使用停止
    特定した回路(例:洗面所)につながっているコンセントから、すべての家電製品のプラグを抜いてください。
    洗濯機や乾燥機など、直接配線されているものも使用を中止します。
  2. 水濡れや結露を確認
    特に屋外の防水コンセント、エアコンの室外機、浴室や洗面所、ベランダなど、水回りを中心に、機器やコンセントが濡れていないか確認します。
    もし濡れている場合は、完全に乾燥するまでその回路は使用しないでください。
  3. アース線の接続と延長コードの撤去
    洗濯機や食洗機、温水便座など、水回りの家電でアース線が接続されていないものがあれば、必ず接続してください。
    また、屋外や水回りで使用している延長コードが原因の場合もあるため、一度すべて取り外してみましょう。
  4. 必ず専門家による点検を依頼する
    応急処置によって一時的に電気が使えるようになっても、漏電の根本的な原因が解決されたわけではありません。
    壁の中の配線や、家電製品の内部故障が原因の場合、放置すると火災につながる恐れがあります。
    必ずプロの電気工事業者に連絡し、絶縁抵抗の測定(メガー計測)を含む詳細な点検と修理を依頼してください。

※ご自身でコンセントを開けたり、配線を結線したりする作業は、感電や火災のリスクが非常に高く、法律で禁止されています。

なぜ?漏電でブレーカーが上がらない5つの主な原因

漏電の原因はご家庭のさまざまな場所に潜んでおり、主に「家電製品」「配線」「環境」「ブレーカー自体」の4つに分けられます。原因を正しく理解することで、再発防止に役立ちます。

原因1:家電製品の故障・劣化・水濡れ

最も多い原因が、日々使用している家電製品のトラブルです。
特に、洗濯機、食器洗い乾燥機、温水便座、エアコンの室外機、屋外の給湯器など、水回りや屋外に設置されている機器は注意が必要です。
長年の使用で内部の部品が劣化し、電気を絶縁する性能が低下(絶縁不良)することで漏電が発生します。
また、雨が降った後や結露が多い時期にブレーカーが落ちる場合、これらの機器への浸水が原因である可能性が高いです。

原因2:電気コードやコンセントの損傷・劣化

家電製品本体だけでなく、電気コードやコンセントも漏電の原因となります。

  • 家具の下敷きになってコードの被覆(カバー)が破れる
  • ペットがコードをかじってしまう
  • コードを無理に折り曲げたり、束ねたりして使うことによる内部断線
  • コンセントとプラグの間に溜まったホコリが湿気を吸って電気を通してしまう「トラッキング現象」

コンセント周りが変色していたり、焦げた跡があったりする場合は非常に危険なサインです。

原因3:見えない壁の中のトラブル(雨漏り・結露・害獣)

家電やコードに異常が見当たらないのに漏電する場合、壁の中や天井裏など、見えない場所でのトラブルが疑われます。
屋根や外壁から雨漏りが発生し、壁の中の配線が濡れてしまうケースは少なくありません。
また、壁の中で結露が発生したり、ネズミなどの害獣が配線をかじって被覆を剥がしてしまったりすることも、漏電やショートの原因となります。
この場合は原因特定が難しいため、専門家による調査が不可欠です。

原因4:漏電ブレーカー自体の故障・寿命(目安:10〜13年)

漏電していないにもかかわらず、漏電ブレーカーが落ちてしまうこともあります。
これは、漏電ブレーカー自体の経年劣化による故障が原因です。
一般的に、ブレーカーの寿命(耐用年数)は10年〜13年が目安とされています。
長年使用することで、内部の部品が劣化し、わずかな電気の変動にも過敏に反応してしまったり、逆にいざという時に作動しなくなったりします。
分電盤に貼られている製造年や点検シールを確認し、10年以上経過している場合は交換を検討しましょう。

プロへの依頼はどこに?費用相場と信頼できる業者の選び方

漏電の原因が特定できない場合や、修理が必要な場合は、プロへの依頼が必要です。どこに連絡し、費用はどのくらいかかるのか、安心して任せられる業者の選び方を解説します。

連絡先は「管理会社」?「電気工事業者」?【賃貸・持ち家別】

どこに連絡するかは、お住まいが賃貸か持ち家かで異なります。

  • 賃貸住宅(アパート・マンション)の場合
    まずは管理会社や大家さん(オーナー)に連絡してください。
    ご自身で業者を手配する前に、必ず指示を仰ぎましょう。
    多くの場合、指定の電気工事業者が手配され、費用も(入居者の過失でなければ)オーナー側が負担することが一般的です。
  • 持ち家(戸建て・分譲マンション)の場合
    ご自身で信頼できる電気工事業者を探して依頼します。
    依頼する際は、必ず「第二種電気工事士」以上の国家資格を持つ業者が対応できるかを確認しましょう。
    資格を持つプロであれば、分電盤の内部から壁の中の配線、コンセント、屋外設備まで、漏電に関するあらゆる調査と修理が可能です。

漏電調査・修理の費用相場は?【料金表で解説】

漏電修理にかかる費用は、原因や作業内容によって大きく変動します。
以下に一般的な費用相場をまとめましたので、業者に見積もりを依頼する際の参考にしてください。

作業内容 費用相場の目安 備考
出張・基本調査(一次対応) 5,000円~12,000円 状況確認や簡単な原因特定の費用です。
漏電箇所の特定・絶縁測定 8,000円~20,000円 専用の計測器(メガー)などを使った詳細な調査です。
コンセント・スイッチの交換/補修 8,000円~25,000円 部材費+作業費です。
配線の補修・引き直し 8,000円~25,000円 壁を開けるなど、作業範囲によって変動します。
分電盤/漏電ブレーカーの交換 20,000円~60,000円 分電盤やブレーカー本体の価格によって変動します。
屋外防水コンセントへの交換 10,000円~30,000円 雨漏り対策などで必要になる場合があります。

※ご注意:上記の料金はあくまで目安です。
地域や業者、作業の時間帯(夜間・深夜・休日など)によって料金は変動します。
緊急対応の場合は追加料金が発生することが多いので、必ず作業前に見積もりを確認しましょう。

【独自情報】ピカくまが選ばれる理由|最短即日で駆けつけ

突然の漏電トラブルでどこに頼めばいいか迷ったら、私たち「ピカくま」にご相談ください。
多くのお客様に選ばれ続けているのには理由があります。

  • 国家資格者が必ず対応:第二種電気工事士の資格を持つプロが、安全かつ確実に作業を行います。
  • 365日・夜間休日も対応:突然のトラブルにも、最短即日で駆けつけます。お困りの時にすぐにご連絡ください。
  • 明朗会計をお約束:作業前に必ず状況を調査し、詳細な見積もりをご提示します。ご納得いただけない限り、作業は開始しません。
  • 豊富な実績と信頼:漏電調査から分電盤交換まで、数多くの電気工事を手掛けてきた実績があります。

お電話、LINE、お問い合わせフォームから、お気軽にご相談いただけます。
まずは状況をお聞かせください。

もう繰り返さない!漏電の基礎知識と今日からできる予防策

無事に電気が復旧しても、原因を知り、対策をしなければ、また同じトラブルが繰り返される可能性があります。漏電の基礎知識と、今日から始められる予防策を身につけて、安心して暮らせる環境を整えましょう。

そもそも漏電とは?3種類のブレーカーの役割を再確認

「漏電」とは、電気が本来の通り道(電線の中)から外へ漏れ出してしまう現象です。
これを「電気の水漏れ」とイメージすると分かりやすいでしょう。
漏れた電気に人が触れれば「感電」、建物やホコリに流れ続ければ「火災」の原因となり、非常に危険です。
この危険から私たちを守ってくれるのが、分電盤にある3種類のブレーカーです。

  • アンペアブレーカー(主幹):「家全体の電気の使いすぎ」で作動します。契約している電気の量を超えると落ちます。
  • 安全ブレーカー(子ブレーカー):「各部屋ごとの電気の使いすぎやショート」で作動します。その部屋の電気だけが切れます。
  • 漏電ブレーカー:「どこかで電気が漏れていること」を検知して作動します。感電や火災を防ぐための最も重要な安全装置です。

漏電ブレーカーには「テストボタン」が付いています。
これは、ブレーカーが正常に作動するかを確認するためのものです。
年に1回程度、このボタンを押して「ガチャン」とブレーカーが落ちるかを確認する習慣をつけましょう。
もし落ちなければ故障のサインですので、交換が必要です。

今日からできる漏電予防の5つの習慣

大がかりな工事をしなくても、毎日のちょっとした心掛けで漏電のリスクを大きく減らすことができます。

  1. 水回り家電のアース線を必ず接続する
    洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、温水便座などには緑色のアース線が付いています。
    これをコンセントのアース端子に接続することで、万が一漏電しても電気を地面に逃がし、感電を防いでくれます。
  2. 延長タップの常用をやめ、屋外は防水仕様にする
    延長タップ(たこ足配線)は、ホコリが溜まりやすく、容量オーバーになりがちです。
    常用は避け、壁のコンセントを直接使いましょう。
    ベランダや庭など屋外で電気製品を使う場合は、必ず「屋外用」の防水仕様のコンセントやコードを使用してください。
  3. 電気コードの扱い方に注意する
    コードを強く折り曲げたり、家具の下敷きにしたり、ドアに挟んだりしないでください。
    コードリールなどに巻き取って収納する場合も、強く巻きすぎると内部で断線する恐れがあります。
  4. 結露や雨天時は乾燥を確認してから使用する
    浴室乾燥機や窓際のコンセントは結露しやすい場所です。
    湿気が多いと感じる時は、使用を控えましょう。
    雨で濡れた屋外の電気製品は、完全に乾いたことを確認してから電源を入れるようにしてください。
  5. 年に1回は分電盤を点検する
    大掃除などのタイミングで分電盤のカバーを開け、ホコリを掃除しましょう。
    その際、ブレーカーに貼られたラベル(「キッチン」など)が消えていないか確認し、ブレーカーの製造年をチェックする習慣をつけると、設備の劣化にも早く気づけます。

まとめ:漏電でブレーカーが上がらない時は、慌てず安全な対処と専門家への相談を

この記事では、漏電でブレーカーが上がらない時の原因と安全な対処法について解説しました。
最後に、最も重要なポイントを振り返ります。

  • まずは安全確保! 濡れた手で触らない、焦げ臭い時や水濡れ時はすぐにプロに連絡。
  • 無理にブレーカーを上げ続けない! 火災や感電の危険があります。
  • 安全な手順で原因回路を特定! 漏電箇所を特定できれば、他の部屋の電気は応急復旧できます。
  • 原因特定後は必ず専門家に点検を依頼! 根本的な解決と再発防止にはプロの診断が不可欠です。

漏電は、電気設備からの重要なSOSサインです。
放置すれば、あなたとご家族の安全を脅かす重大な事故につながりかねません。
原因がわからない場合や、自分で対応するのが不安な時は、決して無理をせず、私たちのような電気工事の専門家にご相談ください。
24時間365日、あなたの「困った」に駆けつけます。