分電盤(ブレーカー)にある漏電ブレーカーのテストボタンを押しても、「カチッ」と音がせず、何も起こらない場合や、漏電が疑われているのにブレーカーが全く作動しない場合など、不安に感じていませんか。「もしかして故障?」「このまま放置したら火事や感電事故につながるのでは?」と心配になるものです。

その不安は、電気の安全を守るための大切な警告サインです。

ご安心ください。この記事では、電気工事のプロが、漏電ブレーカーが作動しない原因から、ご自身でできる安全な確認手順、そして専門業者に依頼する際の費用相場や選び方のポイントまで、全ての疑問に丁寧にお答えします。最後までお読みいただければ、現在の状況がどのくらい危険なのかを正しく理解し、焦らず的確な対処ができるようになります。

【まず確認】その症状、本当に大丈夫?危険度セルフチェックリスト

まず、ご自宅の状況がどの程度危険な状態にあるのか、客観的に把握することが大切です。以下の項目に一つでも当てはまる場合は、漏電や電気設備の重大な不具合が起きている可能性があり、早急な対応が必要です。

  • □ 漏電ブレーカーの「テストボタン」を押してもブレーカーが落ちない。
  • □ 分電盤やコンセント周りから、焦げ臭い匂いがする。
  • □ ブレーカーや配線に、焦げたり変色したりしている箇所がある。
  • □ 特定の家電製品を使うと、必ずブレーカーが落ちる(漏電の可能性)。
  • □ 水回りの家電(洗濯機など)や金属部分に触れると、ピリッと静電気のようなものを感じる。
  • □ 大雨が降った後や、壁が濡れている時にブレーカーが落ちやすくなった。

一つでも当てはまったら、自己判断で解決しようとせず、速やかに専門の電気工事業者へ点検を依頼してください。

漏電ブレーカーが作動しない主な3つの原因|沈黙する番人の病理

では、なぜ私たちの安全を守るはずの「番人」である漏電ブレーカーは、肝心な時に沈黙してしまうのでしょうか。その原因は、主に以下の3つが考えられます。

  1. 漏電ブレーカー本体の故障・経年劣化
  2. 漏電以外の電気トラブルが影響している
  3. 不適切な配線やアース(接地)の不備

それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。

原因1:漏電ブレーカー本体の故障・経年劣化

最も考えられるのが、漏電ブレーカーそのものが寿命を迎えている、あるいは故障しているケースです。

漏電ブレーカーは精密な電気部品の集合体であり、長期間使用することで内部のセンサーや遮断機構のバネ、接点などが物理的に劣化していきます。特に、漏電ブレーカーの一般的な耐用年数は、設置から約10年〜13年と言われています。

もしご自宅の分電盤が10年以上交換されていない場合は、見た目に異常がなくても、いざという時に正常に機能しない可能性が高まっていると考えられます。

原因2:漏電以外の電気トラブルが影響している

意外かもしれませんが、漏電ブレーカーは「漏電」を検知することだけに設計されています。電気の使いすぎ(過負荷)や、コードがショートして火花が出るようなトラブル(短絡)には対応できません。これらは分電盤にある他のブレーカー(アンペアブレーカーや安全ブレーカー)が受け持つ役割です。

ただし、配線の接続が緩んでいたり、どこかで断線しかけている場合など、漏電以外の電気系統のトラブルが、結果的に漏電ブレーカーの正常な動作を妨げてしまうことがあります。このように、問題は漏電だけでなく、複雑なケースも考えられます。

原因3:不適切な配線やアース(接地)の不備

見過ごされがちですが、非常に重要なのが「アース(接地)」の接続です。洗濯機や電子レンジ、エアコンの室外機などから出ている緑色の線が「アース線」です。

アースには、主に2つの重要な役割があります。

  1. 万が一漏電した際に、電気を安全に地面へ逃がす
  2. 漏電ブレーカーが漏電を検知するための「基準」となる

特に2つ目が重要で、アースが正しく接続されていないと、微弱な漏電が発生してもブレーカーがそれを異常として検知できず、作動しないことがあります。つまり、アースがないと、漏電ブレーカーは正常に働けず、漏電を検知できなくなってしまうのです。

漏電ブレーカーが作動しないことの危険性|感電・火災のリスク

漏電ブレーカーが作動しない状態を放置することは、目に見えない時限爆弾を抱えているようなもので、非常に危険です。具体的には、以下のような深刻な事故につながる可能性があります。

  • 感電事故
    漏電している家電やコンセントの金属部分に触れた瞬間、人体に電気が流れ、重篤な傷害、最悪の場合は死に至ることもあります。特に人体に危険を及ぼすとされる電流は30mAからと言われており、漏電ブレーカーはこの値で作動するよう設計されています。ブレーカーが作動しないということは、この安全装置が機能していない状態を意味します。
  • 漏電火災
    漏電箇所では、電気が本来の道筋を外れて流れる際に熱を持ち、火花(スパーク)を発生させることがあります。これが壁の中の木材や、コンセント周りのホコリなどに引火すると、火災に発展します。特に、壁の裏側など見えない場所で発生する漏電火災は発見が遅れやすく、大規模な火災の原因となり得ます。

自分でできる対処法と絶対にやってはいけないこと

漏電ブレーカーの異常に気づいた時、パニックにならず、安全を最優先に行動することが何よりも大切です。ここでは、ご自身で安全に確認できることと、危険なので絶対にしてはいけないことを明確に分けて解説します。

ステップ1:【安全第一】漏電ブレーカーの正しいテスト手順を再確認

まずは、ブレーカー本体の動作確認をします。

  1. 乾いた手で作業することを徹底してください。
  2. 分電盤のカバーを開け、中央付近にある「テスト」または「試験」と書かれた赤い(または黄色い)ボタンを探します。
  3. そのテストボタンを指でしっかりと押し込みます
  • 正常な場合:「カチッ」という音とともに、漏電ブレーカーのスイッチ(レバー)が「切(OFF)」の位置に落ちます。
  • 異常な場合:ボタンを押しても、スイッチが落ちずに無反応の状態です。これは、ブレーカー本体が故障している可能性が極めて高いことを示しています。

また、テストと合わせて、分電盤全体に焦げた跡や変色、異臭がないかを目で見て確認することも重要です。

ステップ2:漏電箇所を特定する手順(ブレーカーが落ちる場合)

この手順は、テストボタンは正常に作動するものの、何らかの原因で漏電ブレーカーが「落ちて上がらない」場合に有効な原因切り分け方法です。

  1. まず、分電盤にある全ての安全ブレーカー(小さなスイッチ)を「切(OFF)」にします。
  2. 次に、漏電ブレーカーを「入(ON)」にします。この時点で落ちる場合は、電気回路の根幹部分に問題があるため、すぐに専門業者に連絡してください。
  3. 安全ブレーカーを一つずつ、ゆっくりと「入(ON)」にしていきます。
  4. ある安全ブレーカーを「入」にした瞬間に、漏電ブレーカーが再び「切(OFF)」に落ちたら、その回路が漏電の原因です。
  5. 漏電の原因となった回路の安全ブレーカーは「切(OFF)」のままにし、他の安全ブレーカーだけを「入(ON)」にすれば、問題がない部屋の電気は復旧します。原因となった回路の電気製品やコンセントの使用はやめ、早めに専門業者に点検を依頼してください。

【警告】濡れた手での作業や無理にブレーカーを上げるのは絶対にNG

安全を確保するため、以下の行為は絶対にしないでください。

  • 濡れた手で分電盤やコンセントに触れる
    感電の危険性が非常に高くなります。
  • ブレーカーが上がらないのに、何度も無理やり上げようとする
    漏電している箇所で火花が発生し、火災につながる恐れがあります。
  • 焦げ臭いなど明らかな異常があるのに操作を続ける
    被害を拡大させる原因になります。すぐに全ての操作をやめてください。
  • 自分で分電盤のカバーを外し、内部の配線を触る
    これは法律で禁止されている危険な行為です。必ず資格を持った専門家が行う必要があります。

原因不明・対処不能な場合は迷わず専門業者へ!費用相場と優良業者の見分け方

テストボタンが反応しない、原因の回路が特定できない、あるいは自分で対処するのが不安な場合は、決して無理をせず、速やかにプロの電気工事業者に連絡してください。電気のトラブルは、専門知識と資格を持った方でなければ、安全に解決することはできません。

漏電調査・修理・交換にかかる費用相場

業者に依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのか不安に思う方も多いでしょう。以下に一般的な費用相場をまとめました。

作業内容 費用相場(目安) 備考
漏電原因の調査 8,000円 ~ 20,000円 専門の測定器を使って原因を特定する作業です。
漏電ブレーカーの交換 15,000円 ~ 35,000円 部品代と作業費を含みます。
配線の修理・コンセント交換 5,000円 ~ 漏電箇所の状況によって変動します。
時間外・深夜料金 3,000円 ~ 10,000円 業者や時間帯によって追加料金が発生します。

※上記はあくまで目安です。正確な料金は必ず事前に見積もりを取得して確認してください。

信頼できる電気工事業者の選び方4つのポイント【ピカくまの強み】

安心して任せられる業者を選ぶために、以下の4つのポイントを確認しましょう。

  1. 国家資格「電気工事士」の有資格者が在籍しているか
    これは絶対条件です。無資格での工事は違法であり大変危険です。ピカくまには第一種・第二種電気工事士の資格を持つ経験豊富なプロが多数在籍しており、安全で確実な施工をお約束します。
  2. 料金体系が明確で、事前に見積もりを提示してくれるか
    作業後に高額な追加料金を請求する悪徳業者も存在します。「工事一式」ではなく、作業内容ごとに内訳が明記された見積書を必ずもらいましょう。ピカくまでは、必ず作業前に現地調査を行い、詳細な見積書をご提示。ご納得いただいてから作業を開始し、見積もり後の追加料金は一切ありません。
  3. 施工実績が豊富で、口コミの評判が良いか
    ウェブサイトなどで、同様のトラブル解決実績が豊富かを確認しましょう。実際に利用した人の口コミも重要な判断材料です。ピカくまは、豊富な修繕実績と多くのお客様からの高い評価をいただいています。
  4. 地域密着で、迅速に対応してくれるか
    電気のトラブルは緊急性が高いもの。連絡してからすぐに駆けつけてくれる、地域に根差した業者が安心です。ピカくまは、関東・東海・関西の広範なエリアで365日年中無休の緊急対応を行っており、お困りの際に迅速に駆けつけます。

まとめ:漏電ブレーカーの異常は放置せず、迅速な点検と対処で家族の安全を守ろう

漏電ブレーカーが作動しないという事態は、単なる不便さではなく、「電気設備に重大な異常が発生している」という重要な警告です。

最後に、重要なポイントを振り返ります。

  1. テストボタンが反応しないのは、ブレーカーが故障しているサイン。放置は絶対にNG。
  2. 自分でできるのは安全な状況下での確認作業まで。無理な操作や自己判断は二次災害の元。
  3. 異常を感じたら、迷わず信頼できるプロに相談するのが、最も安全で確実な解決策。

見えない電気の脅威から、ご自身と大切なご家族の命、そして財産を守るために、ぜひこの記事を参考に、今すぐ適切な行動を起こしてください。もし少しでも不安や疑問があれば、どうぞお気軽にピカくまにご相談ください。専門スタッフが、親身に対応させていただきます。

よくある質問

賃貸マンションやアパートで漏電ブレーカーが作動しない場合、どうすればいいですか?

賃貸物件の場合、電気設備は大家さんや管理会社の所有物となります。まずは、ご自身で業者に連絡する前に、必ず大家さんか管理会社に状況を報告し、指示を仰いでください。無断で修理や交換を行うと、後でトラブルになる可能性があります。火災の危険があるなど緊急性が高い場合は、その旨も伝えて迅速な対応を依頼しましょう。

漏電ブレーカーの寿命はだいたいどのくらいですか?

漏電ブレーカーの交換目安は、一般的に設置から10年〜13年とされています。メーカーもこの期間での交換を推奨しています。10年以上使用している場合は、特に異常が見られなくても、いざという時に正常に作動しないリスクが高まっています。専門家による定期的な点検や、計画的な交換を検討することをおすすめします。

漏電ブレーカーのテストボタンは、どれくらいの頻度で押すべきですか?

漏電ブレーカーが正常に機能するかを確認するため、月に1回程度の定期的なテストが推奨されています。テストボタンを押す習慣をつけておけば、いざという時のためにブレーカーの健全性を保つことができ、故障にも早期に気づくことができます。カレンダーに印をつけるなど、忘れない工夫をすると良いでしょう。