突然、家中の電気が消えた!テレビも、照明も、パソコンも…。慌てて分電盤を見に行き、落ちているブレーカーのレバーを上げようとしても、なぜか上がらない、もしくは上げてもすぐに「カチッ」と落ちてしまう…。

夜間や在宅ワーク中など、今まさに電気が必要な時にこんなトラブルに見舞われたら、誰でもパニックになってしまいますよね。「どうすればいいの?」「もしかして火事?」そんな不安と焦りで、ついやってしまいがちな危険な行動があります。

でも、ご安心ください。この記事では、電気の専門家が「ブレーカーが上がらない」という緊急事態に、絶対にやってはいけない間違いと、誰でもできる安全な復旧手順を分かりやすく解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたの家の電気がなぜ復旧しないのか、その原因を冷静に突き止め、安全に対処する方法がわかります。まずは深呼吸して、危険な行動をとる前にこの記事を読んでみてください。

より詳しい原因や対処法については、ブレーカーが上がらない原因と対処法の総合ガイドもあわせてご覧ください。

この記事を読んでわかることは?

まずは落ち着いて!ブレーカーが上がらない時にやりがちな危険な間違い8選

ブレーカーが上がらないのは、故障ではなく「電気の異常を検知して家を守るために、安全装置が働いていることを示すサイン」です。焦って無理な操作をすると、状況を悪化させ、火災や感電といった重大な事故につながる恐れがあります。まずは、以下の危険な間違いをしていないか確認してください。

間違い①:焦って何度もスイッチを上げ下げする

「えいっ!」と力任せに、あるいは何度もカチャカチャとスイッチを上げ下げするのは最も危険な行為です。漏電やショートが原因の場合、何度も電気を流そうとすると異常箇所にさらに負担がかかり、配線が発熱・発火したり、家電が完全に故障したりする原因になります。

間違い②:原因を特定せずに復旧を試みる

なぜブレーカーが落ちたのかを考えずに、ただスイッチを上げるだけでは、問題を先延ばしにしているにすぎません。根本的な原因(電気の使いすぎ、家電の故障、漏電など)が解決されていないため、復旧してもすぐにまた落ちてしまい、ブレーカー自体にもダメージを与えてしまいます。

間違い③:焦げ臭い・火花などの危険サインを無視する

もし、分電盤の周りやコンセントから「焦げ臭い匂い」がしたり、「パチパチ」という異音が聞こえたり、一瞬でも「火花」が見えたりした場合は、非常に危険な状態です。これは、電気系統が悲鳴を上げているサインです。これらの兆候を無視して操作を続けることは、火災に直結する行為であり、絶対にやめてください。

間違い④:知識のないまま自分で修理(DIY)しようとする

「ネットで調べたから大丈夫」と、分電盤のカバーを開けて内部の配線を触るなどの行為は絶対にやめてください。家庭の電気工事は「電気工事士」という国家資格がなければ行ってはいけないと法律で定められています。感電死や火災のリスクが非常に高く、万が一事故が起きても、火災保険などが適用されない可能性があります。

間違い⑤:濡れた手で操作する

お風呂上がりや炊事の途中など、手が濡れた状態でブレーカーを操作するのは厳禁です。水は電気を非常に通しやすく、万が一漏電していた場合に、体に電気が流れて感電するリスクが飛躍的に高まります。必ず乾いた手で操作してください。

間違い⑥:使用中の家電を止めずにブレーカーを上げる

電気の使いすぎ(過電流)でブレーカーが落ちた場合、原因となった電子レンジやドライヤーなどの電源プラグをコンセントから抜かずにブレーカーを上げても、即座にまた落ちてしまいます。これはブレーカーに余計な負荷をかけるだけであり、何の意味もありません。

間違い⑦:ブレーカーの種類を理解せず操作する

分電盤には、役割の違う複数のブレーカーがあります。例えば、漏電が原因で「漏電ブレーカー」が落ちているのに、関係のない「安全ブレーカー」だけを操作しても、電気は復旧しません。どのブレーカーが落ちているかを確認することが、原因究明の第一歩です。

間違い⑧:【賃貸の場合】管理会社や大家への連絡を怠る

賃貸マンションやアパートにお住まいの場合、分電盤は建物の設備の一部です。自己判断で業者を呼んでしまうと、修理費用が自己負担になったり、後々トラブルになったりする可能性があります。まずは管理会社や大家さんに連絡し、指示を仰ぐのが正しい手順です。

どこが落ちた?3種類のブレーカーの見分け方と役割

落ち着いて分電盤のカバーを開けてみましょう。そこには、役割の異なる3種類のブレーカーがあります。どれが落ちているかを確認することで、原因を絞り込むことができます。

①アンペアブレーカー:家全体の電気量を管理

  • 見た目の特徴:分電盤の一番左側(または一番大きい)にあるスイッチ。電力会社のロゴが入っていることもあります。「40A」のようにアンペア数が書かれています。
  • 役割:家全体で使える電気の総量を管理しています。電力会社との契約アンペア数を超えて電気を使うと、家全体を停電させて保護します。
  • 落ちる主な原因:電気の使いすぎ。

②漏電ブレーカー:「漏電」を検知して感電・火災から守る命綱

  • 見た目の特徴:「漏電ブレーカー」と書かれており、「テスト」ボタンや黄色(または赤)の小さなボタンが付いています。
  • 役割:配線や家電製品の故障などで電気が本来のルートから漏れ出している「漏電」を検知した際に、電気を遮断します。感電や火災を防ぐための非常に重要な安全装置です。
  • 落ちる主な原因:漏電、家電の故障、水濡れ。

③安全ブレーカー:部屋や回路ごとのトラブルに対応

  • 見た目の特徴:複数個がズラリと並んでいる小さなスイッチ。「キッチン」「エアコン」「洋室」など、どの回路に対応しているか書かれていることが多いです。
  • 役割:各部屋や特定のコンセント回路を個別に管理しています。
  • 落ちる主な原因:その回路での電気の使いすぎ(タコ足配線など)、家電のショート(短絡)。

【初心者でも安心】ブレーカーが上がらない時の安全な復旧手順

危険な間違いとブレーカーの種類がわかったら、いよいよ復旧作業です。以下の手順に従って、安全に一つずつ確認していきましょう。

Step1:安全確保と準備

  • 必ず乾いた手で作業してください。
  • ブレーカーが落ちる直前に使っていた、電子レンジやドライヤー、エアコンといった消費電力の大きい家電が原因でブレーカーが落ちる可能性があるため、電源プラグをコンセントから抜いておきましょう。

Step2:スイッチを完全に「切」にする

  • 落ちているブレーカーのスイッチは、中途半端な位置(中立)で止まっていることがあります。
  • この状態では「入」にできないため、一度スイッチを「切(OFF)」の方向へ、「カチッ」と音がするまで完全に押し下げます。これが内部の機構をリセットするための重要な操作です。

Step3:ブレーカーを順番に「入」にする

  • 【アンペアブレーカーか安全ブレーカーだけが落ちている場合】

    1. 完全に「切」にしたブレーカーのスイッチを「入(ON)」に戻します。
    2. これで電気が復旧すれば、原因は単純な電気の使いすぎです。今後は同時に使う家電を減らすなど工夫しましょう。
  • 【漏電ブレーカーが落ちている場合(最も注意が必要!)】

    1. まず、すべての安全ブレーカーを「切(OFF)」にします。
    2. 次に、アンペアブレーカーと漏電ブレーカーを「入(ON)」にします。
    3. この時点で漏電ブレーカーが落ちる場合は、電気回路の根幹部分に異常がある可能性が高いと考えられます。すぐに専門業者に連絡してください。
    4. 漏電ブレーカーが落ちなければ、安全ブレーカーを一つずつ、ゆっくりと「入(ON)」にしていきます。
    5. ある安全ブレーカーを「入」にした瞬間に漏電ブレーカーが再び落ちたら、その回路が漏電の原因です。
    6. 原因と特定された安全ブレーカーは「切」のままにし、他の安全ブレーカーを「入」にすれば、問題のない部屋の電気を復旧できます。
    7. 漏電している回路に繋がっている家電のプラグをすべて抜き、再度その安全ブレーカーを上げてみて、落ちなければ家電の故障が原因です。それでも落ちる場合は、配線自体の問題が考えられます。

手順通りでも上がらない…考えられる深刻な原因

上記の手順を試しても、全くブレーカーが上がらない場合や、原因が特定できない場合は、ご自身で対処できる範囲を超えています。以下のような深刻な原因が考えられます。

原因①:ブレーカー本体の故障・寿命(10年~15年が目安)

ブレーカーも機械であるため、寿命があります。一般的に設置から10年~15年が交換の目安とされています。古くなると、電気を使いすぎていなくても誤作動で落ちたり、スイッチがグラグラになって上がらなくなったりします。この場合は、ブレーカーの修理・交換が必要です。

原因②:配線やコンセントの内部トラブル

壁の中や天井裏を通っている配線が、経年劣化やネズミなどの害獣によって損傷しているケースです。また、コンセントの裏側で配線が緩んだりショートしたりしていることもあります。これらは外から見えないため、特定も修理も、専門家でなければ不可能です。

原因③:落雷や地域の停電など外部からの影響

近くで落雷があった場合、その衝撃(雷サージ)でブレーカーが故障することがあります。また、そもそもお住まいの地域一帯が停電している可能性もあります。スマートフォンの電波が届けば、電力会社の停電情報を確認してみましょう。

ブレーカーの修理・交換はプロに依頼!相談の目安と費用、業者の選び方

ご自身での対処が難しいと感じたら、無理をせず速やかにプロの電気工事業者に相談しましょう。安全のため、そして問題を確実に解決するために、専門家の力が必要です。

専門業者に連絡すべき危険なサインまとめ

以下の項目に一つでも当てはまる場合は、すぐに専門業者に連絡してください。

  • 紹介した復旧手順を試しても、全くブレーカーが上がらない。
  • 漏電ブレーカーがすぐに落ちてしまい、原因の回路が特定できない。
  • ブレーカーやコンセントから焦げ臭い匂いや異音がする、熱を持っている。
  • 分電盤やブレーカーが変色していたり、ひび割れていたりする。
  • ブレーカーの寿命(10年以上)が過ぎている。

修理・交換費用の相場は?

費用は作業内容によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 出張・点検・調査費:無料~8,000円程度
  • 安全ブレーカー交換:8,000円~
  • 漏電ブレーカー交換:15,000円~
  • 漏電原因調査:8,000円~

正確な料金は現場の状況によって変わるため、必ず作業前に見積もりの提示を受け、内容に納得してから契約しましょう。

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ブレーカーのトラブルは、放置すると非常に危険です。少しでも不安を感じたら、まずは「ピカくま」の無料相談にお電話ください。

もう落とさない!今日からできるブレーカートラブルの予防策

無事に電気が復旧したら、今後はブレーカーが落ちないように少しだけ生活を見直してみましょう。

契約アンペア数を見直す

頻繁にアンペアブレーカーが落ちる場合、ご家庭の電気使用量に対して契約アンペア数が足りていないのかもしれません。ご家族が増えたり、新しい家電を導入したりした際は、電力会社に相談して契約アンペア数の見直しを検討しましょう。

消費電力の大きい家電の同時使用を避ける

特に「電子レンジ」「IHクッキングヒーター」「食器洗い乾燥機」「電気ケトル」「ドライヤー」「掃除機」「エアコン」などは消費電力が大きい家電です。これらを同じ時間帯に集中して使わないよう、意識するだけでブレーカー落ちは大幅に減らせます。

タコ足配線をやめ、コンセント周りを定期的に掃除する

一つのコンセントからタコ足配線で多くの電力を取るのは、過電流や火災の原因になります。なるべく壁のコンセントに直接つなぎましょう。また、コンセントとプラグの間に溜まったホコリが原因で発火する「トラッキング火災」を防ぐため、定期的な掃除も効果的です。

古い家電や電気設備は定期的に点検・買い替えを検討する

10年以上使用している古い家電は、内部の部品が劣化して漏電しやすくなっています。また、ご自宅のブレーカーや分電盤も同様に劣化します。定期的な点検や、必要に応じた買い替え・交換が、結果的に安全性の向上につながります。

まとめ:ブレーカーが上がらない時は慌てず、安全第一で対処しよう

ブレーカーが上がらないというトラブルは、誰にでも起こりうるものです。しかし、一番大切なのは、パニックにならず冷静に対処することです。

最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  1. ブレーカーは安全装置:上がらないのは、家を危険から守っているサインです。焦って何度も無理に上げるのは絶対にやめましょう。
  2. まずは安全確認:濡れた手で触らない、危険なサイン(匂い・音・火花)がないか確認するなど、安全を最優先してください。
  3. 正しい手順で復旧:原因となっているブレーカーの種類を見極め、この記事で紹介した安全な手順で一つずつ復旧を試みましょう。
  4. 無理せずプロに相談:少しでも「おかしい」「危険だ」と感じたら、迷わず専門の電気工事業者に連絡してください。

電気は私たちの生活に不可欠なものですが、一歩間違えれば大きな事故につながります。この機会に、ご家庭の電気設備との付き合い方を見直して、安全で快適な毎日を送りましょう。